とげなし性長卵形ナス新品種‘とげなし紺美(こんび)’の育成


[要約]
安定したとげなし性を示し、上物収量が多く、果皮のつやが良い長卵形のナス品種‘とげなし紺美’を育成した。本品種の利用によりナス栽培の快適化が可能となる。本品種は特にハウス促成栽培で品種特性を発揮する。

[キーワード]ナス、とげ、快適化栽培

[担当]愛知農総試・園芸研究部・野菜グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ナス栽培品種には、果実のへた、葉、茎に鋭いとげが発生し、栽培管理作業等を不快にし、作業性の低下を招いている。そこで、本県の消費嗜好に適した長卵形のとげなしナスを育成し、栽培の省力快適化を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
 とげなし性を有する‘FREIA’(デリュータ社;オランダ)と、へたが黒く長卵形の‘千両2号’(タキイ種苗)、‘美男’(渡辺採種場)を育成素材として用いた。1996年に‘FREIA’に‘千両2号’を交雑し、選抜・固定を進め、その後代から2000年に固定系統‘ASL-2’を選抜した。同様に‘FREIA’に‘美男’を交雑し、選抜・固定を進め、その後代から固定系統‘ASL-3’を選抜した。2001年から両者間のF1組合せ検定を行った結果、安定したとげなし性と生産性を示したので2004年に育成を完了し、‘とげなし紺美’として登録出願した(図1)。
2. とげなし性
 ‘とげなし紺美’は、作型や窒素施肥量、接ぎ木の有無、台木品種に関わらず、へた、葉、茎などどの部位にもとげが発生しない(図2)。
3. 果実形質
 果実は太みのある長卵形である。果皮は黒紫色でつやが良い。ハウス栽培などでは冬期に色が淡くなりやすい。果実硬度が高いため、日持ち性が優れている(図2)。
4. 収量性
 ‘千両’と比較し、低温期の収量が多く、春以降は少ない。日焼け果など障害果が少ないため、上物率は収穫期間を通して高く安定している(図34)。
5. 省力・快適化効果
 整枝摘葉及び収穫作業時間は、とげがない上、側枝の発生が少ないため、‘千両’の約80%で省力的である。とげによる痛みもなく作業の快適化が図られる。

[成果の活用面・留意点]
1. ‘とげなし紺美’の導入により省力快適化栽培が可能となり、雇用確保・規模拡大を進めることができる。
2. 低温期の収量・品質が優れているため、ハウス促成栽培に適している。
3. 春以降、草勢が弱くなりやすいため、過度の摘葉を避け、追肥、かん水等により草勢を維持する。
4. ハウス栽培では冬期の果皮色が淡くなりやすいため、整枝、摘葉により採光性を向上する。
5. 果皮色が淡く果実が硬いため漬け物への利用は不向きで、果肉が緻密な点を活かした、揚げる、焼く、炒めるなどの調理に適している。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:遺伝的特性を利用したトマト、ナスの省力・快適化栽培技術の確立
課題ID:
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:1996~2004年度
研究担当者:長屋浩治、恒川靖弘、矢部和則、菅原眞治
発表論文等:
1)堀田ら(2003) 園学研 2(1):1-4.
2)品種登録出願公表‘とげなし紺美’(2004)

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