トマトの環境保全型養液栽培における給液法


[要約]
排液を出さない環境保全型養液栽培の毛管吸水槽の培養液水位管理は、培養液面から培地底面までの距離が6cmになったら2cmになるまで給液する。培地への給液量は全給液量の50%程度とし、残りの約50%は毛管吸水槽に給液する。

[キーワード]トマト、環境保全型養液栽培、給液法

[担当]栃木農試・園芸技術部・野菜研究室
[連絡先]電話028-665-7142
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・総合研究、野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 開発した環境保全型養液栽培システムでは、培養液は培地上および培地下に設けた毛管吸水槽(培養液貯留部)から浸潤性シートを介して供給される。そこで、本システムに適する給液管理技術を確立するため、毛管吸水槽の培養液水位、培地および毛管吸水槽への給液量の割合を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 栽培槽の構造は図1のとおりで、毛管吸水槽の底面から培地底面までの距離は約11cmである。毛管吸水槽の培養液面から培地底面までの距離が2cmでは、第5花房以降で茎径がやや細く、収量、1果重が劣る。6cmおよび6cmに減じたら2cmになるまで給液する管理では、生育はほぼ同程度あるが、6cmでは4、5月の収量がやや少なく尻腐れ果の発生が多い傾向にある。このため、毛管吸水槽の水位は三極電極等を用いて培養液面が培地底面から6cm離れたら2cmになるまで給液する管理が適する(図2)。
2. 給液は培地にのみ行うより、培地および毛管吸水槽の両方に行う方が第5花房以降の茎径や収量、1果重が優れる(図3)。
3. 培地給液量として、給液量の約半分を培地上から、残り半分を毛管吸水槽から給液する管理は、約25%を培地上から残り約75%を毛管吸水槽から給液する管理に比べて生育後半の茎径や収量、1果重が優れる。さらに、前者の管理ではかけ流し式より収量が多くなる(図4)。

[成果の活用面・留意点]
1. 12月中旬から2月下旬頃まで毛管給水槽の水位が高く維持されると、根群が形成されている培地底面部が過湿となるため、2cm以下の高水位の管理は避ける。
2. 培養液処方は当場で開発した「改良2処方」または「改良処方」を用いる。給液ECは、定植~第2花房開花期まで1.2dS/m、第2花房開花期~第8花房開花期まで1.4dS/mとし、その後、徐々に下げ3月下旬以降1.0dS/mを基本とする。株当たりの培地給液量は、定植後から12月上旬までは200ml、その後約1か月ごとに100mlずつ増やし、3月中、下旬以降600mlで管理する。また、株当たり1回の培地給液量は100ml程度とする。
3. 品種は「ハウス桃太郎」で、9月上旬播種の促成栽培である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:草姿管理等による施設を中心とした果菜類の省力・快適化生産技術の確立
予算区分:国補(地域基幹)
研究期間:2000~2004年度
研究担当者:石原良行、人見秀康、中山千知
発表論文等:1)石原ら(2002)流量制御機構および該機構を備えた植物栽培装置(特願2003-055834).

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