早生で耐冷性に強く良食味の水稲新品種「なすひかり」


[要約]
水稲「なすひかり」は、早生の早に属する粳種である。耐冷性が強く、「ひとめぼれ」より耐倒伏性が優れ、千粒重はやや重くやや大粒で安定した収量が得られる。米飯は「ひとめぼれ」より味・外観・総合評価で並からやや優る良食味である。栃木県の中北部向け奨励(認定)品種として採用する。

[キーワード]水稲、なすひかり、良食味、耐冷性、

[担当]栃木農試・作物経営部・作物品種開発研究室
[連絡先]電話028-665-7087
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 栃木県の中北部稲作地帯は、良食味品種である「コシヒカリ」と「ひとめぼれ」が作付けされていたが、「ひとめぼれ」は「コシヒカリ」との価格差が大きくなったこと等から急激に減少した。一方「コシヒカリ」は極良食味で市場評価が高いため、80%を超える作付割合になっており、気象災害を受けた場合の危険分散を図る必要がある。また、「コシヒカリ」だけでは需要の要望(業務用米)に対応できない。
 そこで、「ひとめぼれ」に替わる早生で栽培性に優れた良食味品種を育成し、安定した良食味米生産を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 「なすひかり」は、「コシヒカリ」を母、「愛知87号」を父として1990年に人工交配して育成した系統である。
2. 「ひとめぼれ」に比べて出穂期は1日程度、成熟期は2日程度遅い、「早生の早」に属する。
3. 「ひとめぼれ」に比べて稈長は同程度からやや長いが、稈質が強く耐倒伏性は優れる。
4. 耐冷性は「ひとめぼれ」と同等の「極強」で、穂発芽性は「難」である。
5. いもち病真性抵抗性遺伝子型はPia及び,Piiと推定され、ほ場抵抗性は葉いもち、穂いもちともに「中」で、「ひとめぼれ」より強い。
6. 収量性は「ひとめぼれ」より優れる。
7. 玄米千粒重は「ひとめぼれ」よりやや重く、外観品質は優れる。
8. 食味は「ひとめぼれ」と同等の「上中」である。

[成果の活用面・留意点]
1. 栃木県中北部の早植え地帯に奨励(認定)品種として普及する(普及見込み面積は3,000ha、新品種登録出願中)。
2. 耐倒伏性は「中」であり、多肥栽培は倒伏と品質低下を招くので適正な肥培管理を行う。
3. いもち病圃場抵抗性は葉いもち・穂いもち共に「中」であり、いもち病の発生が見られたら適期防除を行う。
4. 高温年や移植期が遅くなると、コシヒカリとの成熟期の差が縮まるので早期に移植する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:水稲新品種育成試験、水稲奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:1996~2003年度
研究担当者:伊澤由行、山口正篤、池田二朗、五月女恭子、大谷和彦、小林俊一、大久保堯司、小島隆、伊藤浩、倉井耕一、出口美里、五月女敏範
発表論文等:2004年2月品種登録申請

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