窒素施肥を用いたダイズ根粒着生制御による生育改善の可能性


[要約]
基肥施用10gN/m2により生育初期の根粒着生を強く制限しても、開花期には新たに根粒が着生し、根粒窒素固定機能が回復し良好に作用するため、無肥料条件で生育初期から根粒着生した場合に比べ同等以上の収量品質が得られる。

[キーワード]ダイズ、根粒、施肥、ウレイド態窒素、窒素吸収量

[担当]愛知農総試・作物研究部・作物グループ
[連絡先]電話0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田畑作物
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 愛知県主要ダイズ作地帯では無肥料栽培が慣行となっており、肥沃であるとはいえない土壌条件のため根粒の窒素固定機能が収量に及ぼす影響が大きい。一方、地域別の根粒着生状況を調査すると、生育初期から着生する西三河沖積地帯では栄養成長が過剰になりやすく収量品質が不安定なのに対し、同じ沖積地帯でありながら海部地域では根粒着生開始が1ヶ月近く遅れた場合でも高収量が得られる事例が多く見られる。そこで、ダイズ作期間中の根粒着生と施肥の関係を,特に生育初期の着生抑制を主眼に明らかにし、根粒の窒素固定機能を十分に活かした適切な施肥法を開発するための知見とする。

[成果の内容・特徴]
1. ダイズ栽培における基肥窒素量として一般的とされる3gN/m2及び5gN/m2では、無肥料と比べてダイズ作期間中の生育量に有意差は無く、増収効果も小さい(データ略)。
2. 基肥窒素が根粒着生や根粒の活性に及ぼす影響は、3gN/m2では小さく、5gN/m2では播種約1ヶ月後までやや抑制され、10gN/m2ではさらに強く抑制される(図1)。
3. 10gN/m2の基肥窒素施用では、根粒着生は生育初期から強く制限され、根粒由来のウレイド態窒素量は8月上旬まで抑制される。しかし、施肥の影響がなくなる開花期には新たに根粒が着生し、窒素固定機能が回復する(図1図2表1)。
4. 10gN/m2の基肥窒素施用により根粒着生を制限しても、生育初期から根粒が着生する無肥料条件と比べ同等以上の収量が得られ、主茎長が抑制されて分枝数が増加する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本情報は品種フクユタカを用いた試験に基づいており、品種により反応が異なる可能性がある。
2. 多量の基肥窒素施肥は全面全層施用では雑草の発生を助長し、局所施用ではダイズの発芽を抑制する懸念がある。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:効率的肥培管理技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2001~2006年度
研究担当者:武井真理、濱田千裕

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