水稲「コシヒカリ」栽培における鶏ふん堆肥の連用による適正施用量


[要約]
水稲「コシヒカリ」栽培において、鶏ふん堆肥(発酵鶏ふん)窒素5kg/10aを基肥として連用することによって9年間にわたって収量は確保できる。しかし、連用によって玄米中の粗タンパク質含有率には上昇傾向がみられるので、その場合は化学肥料窒素1kg/10aと鶏ふん堆肥窒素2kg/10aの組み合わせが基肥窒素の適正量である。

[キーワード]水稲、鶏ふん堆肥、窒素代替、減肥、玄米粗タンパク質

[担当]千葉農総研・生産環境部・土壌環境研究室
[連絡先]電話043-291-9990
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 ヒカリ」栽培において、化学肥料窒素の削減を目的として、鶏ふん堆肥による基肥窒素の代替について、9年間にわたって試験を実施した。堆肥由来窒素量の違いが水稲の生育・収量及び土壌に及ぼす影響から、鶏ふん堆肥の適正施用量を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 鶏ふん堆肥を基肥窒素として5kg/10a施用し、株当たり植え付け本数6本で水稲を栽培すると、化学肥料施用に比べて初期生育は劣るが、穂数と収量はほぼ同等になる(表1)。
2. 連用6年目以降は、鶏ふん堆肥施用では化学肥料施用に比べて、葉色値(SPAD)は収穫期でも高く(図1)、玄米中の粗タンパク質含有率は高い傾向にある(図2)。
3. 鶏ふん堆肥連用による肥沃度の上昇を考慮して、6~9年目の鶏ふん堆肥を基肥窒素として3kg/10a施用にすると、化学肥料施用に比べて初期生育が劣り、穂数が少なく、収量は低くなる(表1)。
4. 基肥として鶏ふん堆肥窒素2kg/10aと化学肥料窒素1kg/10aを組み合わせることにより、初期生育は良好となり、穂数は化学肥料施用と同程度が確保され、収量もほぼ同等となる(表1)。また、玄米中の粗タンパク質含有率は、化学肥料施用に比べてやや高いものの、鶏ふん堆肥を基肥窒素量として5kg/10a施用よりは低くなる(図2)。
5. 連用9年目の有効積算温度1050℃(ほぼ収穫期)における土壌の無機態窒素生成量は、鶏ふん堆肥窒素3kg/10a及び5kg/10aでは、化学肥料区に比べて100g乾土当たり0.8~0.9mg多い(図3)。鶏ふん堆肥窒素2kg/10aと化学肥料窒素1kg/10aの組み合わせでは、標準窒素施肥に近い値で推移する。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験は壌土の湿田において行ったものであり、化学肥料の標準窒素施肥量は10a当たり基肥3kg、穂肥3kgである。
2. 本試験は鶏ふん堆肥による基肥代替であり、穂肥は標準施肥とする。
3. 鶏ふん堆肥(発酵鶏ふん)の窒素含有率は1.8%であり、稲わらは回収されている圃場である。稲わらすき込み圃場では、鶏ふん堆肥窒素を1.5kg/10a程度減肥する。
4. 鶏ふん堆肥による施肥窒素代替率は、基肥全量代替の場合化学肥料の50%、鶏ふん堆肥窒素2kg/10aと化学肥料窒素1kg/10aの組み合わせでは33%となる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:水稲「コシヒカリ」栽培における鶏ふん堆肥の連用による適正施用量
予算区分:環境保全型農林業技術開発研究事業(県単)
研究期間:1993~2001年度
研究担当者:森孝夫、駒塚富男、斉藤研二、玉造正、大橋眞一、安西徹郎

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