ホソヘリカメムシの越冬基質の推定


[要約]
野外に設置した網室内で、ホソヘリカメムシ成虫は越冬場所として想定される4基質を、スギ落葉>枯れたイネ科雑草>広葉樹落葉>小石の順に選好する。

[キーワード]ダイズ、子実害虫、ホソヘリカメムシ、越冬場所

[担当]中央農研・虫害防除部・害虫生態研究室
[連絡先]電話029-838-8939
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・病害虫(虫害)
[分類]科学・参考

[背景・ねらい]
 ホソヘリカメムシは大豆子実を吸汁加害する重要害虫であり、圃場における発生動態や防除法については多くの研究がなされている。しかしながら、本種の生活史には不明な点が多く、特に越冬に関する知見は乏しい。本種の越冬場所を特定し越冬密度を知ることは、生活史の解明という観点から重要であるばかりでなく、発生初期の密度を予測し効果的な防除対策を実施するための必須情報となる。そこで、異なる環境を野外で人為的に再現し、それらをホソヘリカメムシに選択させて、本種が好む越冬環境を推定する。

[成果の内容・特徴]
1. ホソヘリカメムシ成虫の越冬場所を推定するため、縦×横×高さが3×3×1.8mの網室4基を野外に設置する(図1)。網室の内部を4つに区切り、各区に小石140kg(伊勢砂利:直径3~4cm)、枯れたイネ科雑草、広葉樹落葉(ケヤキ・ニレ主体)、スギ落葉+高さ約1~1.5mのスギ幼木を越冬基質として配置する。小石は7-8cm、その他の基質は12-13cmの厚さで設置した(図2)。
2. 12月中旬頃に短日処理した飼育虫(25℃、70%RH)198匹を各網室の中心部分に放飼して越冬基質を選択させ、成虫が越冬を完了すると考えられる2月中旬から3月中旬に各区画から成虫を回収する。
3. スギ樹上や壁面に定位する個体は1月中旬にはほとんど見られなくなる。最終的には放飼直後の死亡個体(0-63匹)を除き、全体の63-78%を回収したがすべて死亡していた。
4. 2004年1月23日の段階で計73匹の生存個体を確認し、うち61匹(84%)はスギ落葉区から発見された。2003-2004年越冬期における回収個体数はスギ落葉>枯れたイネ科雑草>広葉樹落葉>小石の順に多く、放飼個体が基質をランダムに選択しているという可能性は棄却される(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. ホソヘリカメムシは越冬場所としてスギなどの針葉樹林下やイネ科雑草群落を好むことが示唆され、他種カメムシ類の越冬場所として知られている雑木林の林床落葉間での越冬密度は低いことが想定される。
2. 本試験では、予め準備した4種の越冬基質に対する相対的な選好性を比較しており、4種以外の基質に対する選好性についても考慮する必要がある。
3. 網室内放飼前に標識しておくことにより、回収作業が容易になる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:合成誘引物質と自動カウントトラップを利用した大豆子実害虫の早期高精度発生予察技術の開発
課題ID:03-08-02-01-23-04
予算区分:生物機能
研究期間:2004~2008年度
研究担当者:伊藤健二、田渕研、水谷信夫、守屋成一
発表論文等:
1)田渕・伊藤 (2004) 関東東山病虫研報 51:115-118.

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