温暖化条件下における「コシヒカリ」の白未熟粒発生軽減のための適正栽植密度


[要約]
気候温暖化条件下において分げつが旺盛で生育中期に葉色が極端に低下した場合、登熟期間の葉色が維持されず、基白、背白粒の発生が多くなる。また、穂数が多くなる条件下では乳白粒の発生が多くなる。栽植密度を18株/m2程度とすることによりこれらを軽減できる。

[キーワード]気候温暖化、白未熟粒、基白粒、背白粒、乳白粒、栽植密度、コシヒカリ

[担当]富山農技セ・農業試験場・機械営農課
[連絡先]電話076-429-5280
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田畑作物
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 富山県においては平成12年以降、胴割粒や乳白、基白、背白粒等の白未熟粒の混入により玄米品質が低下している。これら被害粒のうち、特に基白、背白粒多発の直接的な要因は出穂直後の異常高温によるもので、田植え時期の繰り下げが有効な技術であるが、登熟期間の稲体の活力の低下も発生を助長しているものと考えられる。一方、近年は生育初期においても高温傾向となっているとともに、側条施肥の普及がめざましい。これらの影響で初期の分げつ過剰および生育中期の栄養凋落傾向がみられ、その結果、登熟期間の稲体活力が低下することが考えられる。
 そこで、生育初期の分げつ数や生育中期の栄養状態を改善することにより白未熟粒発生を軽減するための栽培法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 栽植密度が20~21株/m2で分げつが過剰となった場合、最高分げつ期以降の葉色値が3.5以下と極端に低下する。生育初期が高温の場合、その傾向はさらに顕著となる。栽植密度の低減で過剰な分げつを抑制することにより、極端な葉色低下は改善される(図1)。
2. 栽植密度が20~21株/m2で分げつが過剰な場合、特に生育初期が高温の場合にm2当たり籾数が多くなる。その結果、登熟期間が低温寡照条件では乳白粒を中心とした白未熟粒の発生が多くなる。栽植密度の低減により過剰分げつを抑制した場合は乳白粒を中心とした白未熟粒の発生が少なくなる(図2)。
3. 登熟初期が高温で基白、背白粒が発生しやすい条件では、栽植密度が20~21株/m2で分げつが過剰となり、生育中期の葉色が極端に低下した場合、出穂期前後の葉色の低下につながり、基白、背白粒の発生が多くなる(図3)。
4. 栽植密度を18株/m2程度に低減することにより、生育、収量および蛋白含有率に影響せずに白未熟粒の多発を軽減することができる(表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. やむを得ず早い田植えが必要な大規模経営体等において、白未熟粒発生の軽減に活用できる。但し、胴割粒、白未熟粒の回避には登熟初期の異常高温を避けることが最も有効な技術であるため、田植え時期が繰り下げられない経営体においてのみ活用する。
2. 白未熟粒発生には他の要因も複雑に関連するため、土作り、適正な穂肥施用や水管理等、基本技術の徹底を図る。
3. 栽植密度を極端に低くすると乳白粒が多発する場合があるため、極端な疎植は行わない(図3)。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:気象・作物的要因解析による被害粒発生の診断予測技術の開発
予算区分:委託(気候温暖化)
研究期間:2003~2004年度
研究担当者:高橋 渉、野村幹雄、荒井清完、守田和弘

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