鎮圧ローラを装着した小明渠浅耕播種機による乾燥条件での大豆苗立ち安定


[要約]
小明渠浅耕播種機に播種前全面鎮圧ローラを装着することで梅雨明け後の乾燥過程でも苗立ちが安定し、晩播での収量確保につながる。

[キーワード]小明渠浅耕播種、播種前鎮圧、鎮圧ローラ、苗立ち安定

[担当]三重農研・経営植物工学研究課
[代表連絡先]電話:0598-42-6354
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
小明渠浅耕播種機(水田輪作研究東海サブチーム開発)は、大豆の播種後の降雨条件での苗立ち安定と作業性の改善を目的に開発され、大豆における普及や小麦への利用が広がりつつある。しかし、大豆播種は、年により梅雨明けまでずれ込むこともあり、播種後降雨がない場合には乾燥により苗立ちが不安定になる場合がある。そのため乾燥条件でも苗立ちが安定する技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 播種機は、従来型の浅耕播種機の浅耕部と播種ユニットの作溝ディスクの間に全面の鎮圧ローラを配置する(図1)。
2. 従来型は市販ロータリのリヤカバーをそのまま使用しているが、全面鎮圧ローラを配置すると全長が長くなり過ぎるため短いリヤカバーを製作して使用している(図1)。
3. ロータリ前ゲージホイルと全面鎮圧ローラのバランスで浅耕層(土塊と麦桿の混和された状態)の鎮圧程度を調整している。鎮圧程度を強くすることで、浅耕下未耕部と浅耕層の密着を促すとともに水分の蒸発を抑制している。(図3
4. 播種ユニットは従来と同様市販の傾斜目皿方式を用いているが全面鎮圧後に作溝・播種・覆土・鎮圧をするため従来より作溝ディスク、覆土板の作用バネを強めに設定する必要がある。
5. 従来型に比べ播種後乾燥条件が続いても播種条毎の苗立ちの変動が減少するともに苗立ち率が向上し生育・収量が安定する(図2表1)。
6. リヤカバーを短くすることで市販品のリヤカバーによる圃場均平効果はなくなるものの爪軸とリヤカバーが接近するため耕耘土塊のロータリ内の滞留時間が長くなる。

[成果の活用面・留意点]
1. 播種時点で既に土壌が乾燥している場合には苗立ち率の向上は期待できないので、土壌水分が低下し過ぎる前に播種する必要がある。
2. 播種後乾燥が想定される場合には、乾燥を助長するような前耕起は行わず播種する。田面の凹凸の解消や砕土率向上のためにやむを得ず前耕起を行う場合は、播種直前に行う。

[具体的データ]
図1 全面鎮圧ローラを装着し小明渠浅耕播種機  図2 播種条別苗立ち率
表1 大豆の生育・収量
図3 播種方式と土壌水分の経過

[その他]
研究課題名:温暖地湿田のイネ直播・浅耕栽培を基軸とする水田輪作技術の体系化と実証
予算区分:担い手プロ
研究期間:2007~2011年度
研究担当者:中西幸峰、北野順一、中山幸則、渡辺輝夫(中央農研)、谷尾昌彦(中央農研)、深見公一郎(中央農研)

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