ナシ「巾着」の黒星病抵抗性に連鎖したDNAマーカーの利用法
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| [要約] |
「巾着」の黒星病抵抗性に連鎖したマーカーとなるDNA配列を持たない個体は黒星病接種試験により全て著しい病徴を示したため、幼苗時のマーカー選抜により1次選抜を効率的に実施することができる。 |
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[キーワード]ニホンナシ、「巾着」、黒星病、抵抗性育種、DNAマーカー |
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[担当]茨城農総セ生工研・果樹花き育種研究室
[代表連絡先]電話:0299-45-8330
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]研究・参考 |
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| [背景・ねらい] |
減農薬栽培への要望や殺菌剤耐性を有する黒星病菌の出現などに対応したニホンナシ品種の育成に有用な選抜技術を開発するため、在来ニホンナシ品種「巾着」の黒星病抵抗性( Vnk )に連鎖したDNAマーカーの実際の育種における有効性について、育成した実生集団を用いて検証する。 |
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[成果の内容・特徴] |
| 1. |
発芽後2ヶ月の実生を用いた接種試験における黒星病の病徴を、0:無病徴、1:葉に白斑、2:葉に弱赤斑、3:葉に赤斑、4:葉柄における分生子形成、5:葉の黒変および葉における分生子形成の6段階の指数で評価すると、「巾着」を親にもつ4系交雑で得られた後代(図1)は、様々な程度を示す(表1)。 |
| 2. |
病徴指数0~4は、生育に重大な影響を及ぼさないため抵抗性と判断できる。5は葉に著しい分生子形成が見られ、枯死する個体もあるため罹病性と判断できる。 |
| 3. |
Terakami et al. (2006)に報告された第1連鎖群のDNAマーカーSTS-OPW2とSTS-OPO9間の領域が「非巾着型」の個体は、全て葉に分生子形成を伴う激しい病徴を示す。逆に「巾着型」の個体は平均発病度3前後にとどまっており、抵抗性を示す(図2)。「組換え型」の個体は抵抗性と罹病性とに分離する。 |
| 4. |
両マーカー間の距離が12~13cMとやや大きくこれらのマーカーを持つ個体の中にも罹病性個体が出現しているため、この領域における組換えの可能性がある。今回供試したDNAマーカーの実際の育種における利用法としては両マーカーを持つ個体を抵抗性個体として選抜するのではなく、STS-OPW2とSTS-OPO9を両方持たない個体を罹病性個体として淘汰する方法が適している。 |
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[成果の活用面・留意点] |
| 1. |
環境の影響を受けやすく結果の不安定な接種試験と異なり、実験室内で安定した結果を得ることができる。 |
| 2. |
発芽2週間程度の幼苗段階で罹病性個体を選抜・淘汰できるため、限られた施設、労力を効率的に利用できる。 |
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![]() [具体的データ] |
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![]() [その他] |
研究課題名:ナシの種属間交雑などによる新品種の育成
予算区分:県単
研究期間:1992~2008年度
研究担当者:郷内武、寺上伸吾(果樹研)、山本俊哉(果樹研)、霞正一
発表論文等:Gonai et al. (2009) J. Japan. Soc. Hort. Sci. 78(1): 49-54
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