クリプトモスを利用した閉鎖型養液栽培に適する「栃木イチゴ処方」


[要約]
大塚A処方の硫酸態硫黄濃度を1/2とした「栃木イチゴ処方」は、2月以降の培地内のEC上昇が抑制され、収量性も向上し、クリプトモスを培地とする閉鎖型養液栽培に適する。2月以降のEC管理は1.0dS/mとすることが適当である。

[キーワード]イチゴ、とちおとめ、閉鎖型養液栽培、培養液処方、クリプトモス

[担当]栃木県農業試験場・いちご研究所
[代表連絡先]電話:0282-27-2715
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
栃木県で開発したクリプトモスを培地とするイチゴ閉鎖型養液栽培システムは、従来のシステムに比べて環境に優しく高生産性であり、年々導入が増加している。本システムで大塚A処方を使用して「とちおとめ」を栽培した場合、給液量が増える2月以降に培地内ECが上昇し、培地内へのカルシウムおよび硫酸態硫黄の蓄積が顕著であった。そこで、大塚A処方に比べ、収量・品質が向上し、2月以降でもEC上昇が少く、同一培地で連用しても肥料成分が蓄積しにくい本システムに適した培養液処方および給液管理法を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「栃木イチゴ処方」は大塚A処方の硫酸態硫黄量を1/2とした培養液である(表1)。
2. クリプトモスを培地とする閉鎖型養液栽培では、栽培期間を通して培地内ECが大塚A処方と比べ安定的に低く推移する(図1)。
3. 「とちおとめ」を用いた試験では収量も大塚A処方に比べ多収で安定している(表2)。
4. 「栃木イチゴ処方」の給液EC管理は、2月以降1.0dS/mとすることにより、15g以上の果実の発生割合が多く、収量も多くなる(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 「栃木イチゴ処方」はクリプトモス培地のみに用いる。
2. クリプトモスは杉皮を使った資材で、一般に市販されている。
3. EC1.2dS/m相当の培養液作成を作成する場合は、水1000L当たりA液として硝酸石灰を415g、B液として硝酸カリウム360g、第一リン酸アンモニウム80g、第一リン酸カリウム38g、硫酸マグネシウム60g、硝酸マグネシウム130g、大塚ハウス5号40gを基本とし、原水に含まれる肥料成分により修正を加える。
4. 2月以前の給液EC管理は、定植後~頂花房開花期まで1.0dS/m、頂花房開花期~ 1月末まで1.2dS/mとする。

[具体的データ]
表1 栃木イチゴ処方の組成
 図1 培地内溶液ECの推移(2003年)
表2 培養液処方の違いがイチゴ「とちおとめ」の収量性に及ぼす影響(2003年)
図2 栃木イチゴ処方の2月以降の給液ECとイチゴ「とちおとめ」階級別収量の関係(2006年)

[その他]
研究課題名:イチゴの閉鎖型養液栽培安定多収技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2003~2006年度
研究担当者:直井昌彦、植木正明
発表論文等:直井ら(2008)栃木農試研報、63 : 59-68

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