畦畔から侵入するアシカキによる水稲収量への影響と耕種的防除法


[要約]
畦畔から水田内へのアシカキ茎の侵入距離は3m以内であり、水稲収量の減少は畦畔際のみに限られる。水田内での冬季の耕起、代かきおよび畦畔での水稲移植後2週間以内における1回の刈り払いにより、水稲収量に影響がない程度にアシカキを抑制できる。

[キーワード]アシカキ、刈り払い、畦畔、耕起、代かき、水稲減収

[担当]中央農研・雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8953
[区分]共通基盤・雑草、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
近年、関東東海地域を中心にイネ科多年生雑草アシカキの発生が目立ってきている。水稲移植栽培では、アシカキは主として畦畔で発生し、茎を伸長させて水田内に侵入するが、水稲収量の減少、水稲倒伏の助長、収穫作業の阻害、畦畔でのイネごま葉枯れ病の伝染源などの雑草害が懸念され、早急な防除法の開発が求められている。そこで、畦畔から水田内へ侵入するアシカキの生育特性と水稲収量への影響を明らかにするとともに、水田内での蔓延を防ぐための防除法を検討し、総合的防除法の構築に資する。

[成果の内容・特徴]
1. 畦畔を刈り払いしない場合、アシカキ茎は水田内に最大3m侵入する。刈り払い時期を早めるほど、その後に茎が伸長するため侵入距離が長くなる(表1)。
2. 水稲収量の減少程度は水稲収穫時のアシカキ乾物重との相関が高い(図1)。無刈り払いでは水稲移植時に水田内への侵入が始まっており、その場合、畦畔際 (水稲収穫時のアシカキ乾物重が約50g/m2) のみで減収が生じる(表1)。水稲移植後2週間以内に1回の刈り払いを行うことにより、水稲収量に影響がない程度にアシカキを抑制できる(表1)。
3. 水田内に侵入したアシカキは翌年度の発生源となる栄養茎を水田内に形成する(表2)。冬季の耕起により生き残る栄養茎は1/3以下に減少し、耕起時期が早いほど、減少の効果が高い。生き残った栄養茎は水稲移植前の耕起、荒代かき、代かきにより、代かき以降はみられなくなる(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本耕種的防除法はアシカキ発生水田に活用できる。特に、耕起による防除法は代かきをしない水稲耕起乾田直播栽培水田などに活用できる。また、除草剤を含む総合的防除対策を構築するための基礎情報として利用できる。
2. 初期の刈り払いが遅れ、水田内に栄養茎が形成した場合には、その生育により雑草害を招く可能性がある。
3. 耕起による防除については、当年に水田内に形成されたアシカキ栄養茎を対象にしており、休耕田や枕地などで複数年生育した栄養茎では防除効果が低下する可能性がある。

[具体的データ]
表1 畦畔での刈り払い処理がアシカキの生育量と水稲収量に及ぼす影響
図1 無刈り払い条件における水稲収穫時のアシカキ乾物重と水稲収量との関係  表2 異なる畦畔刈り払い処理による水田内でのアシカキの水稲収穫時
表3 異なる耕起時期におけるアシカキ萌芽数

[その他]
研究課題名:難防除雑草バイオタイプのまん延機構の解明及び総合的防除技術の開発
課題ID:214-b
予算区分:基盤、受託(日植調研究調査啓発事業)
研究期間:2006~2008年度
研究担当者:川名義明、渡邊寛明、内野彰、牛木純

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