豚ぷん尿から結晶化法により回収されるリン酸資材(MAP)の肥効特性
|
|
| [要約] |
豚ぷん尿から結晶化法によって回収されるリン酸資材(MAP)は、く溶性リン酸を主成分とするが、その溶出特性はく溶性を主成分とする熔リンとは異なり、チンゲンサイの施肥反応は水溶性とく溶性を併せ持つ重焼リンに近い。 |
![]()
[キーワード]豚ぷん尿回収MAP、リン酸資材、く溶性リン酸、肥効特性 |
![]()
[担当]神奈川県農業技術センター・農業環境研究部
[代表連絡先]電話:0463-58-0333
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料
[分類]技術・参考 |
|
| [背景・ねらい] |
リン酸は作物栽培上重要な肥料成分であるが、その原料のほとんどは輸入に頼っており、資源の枯渇が懸念されている。一方、リン酸は水質汚濁物質であるため、汚水の放流に先立ち、その濃度を低減する必要がある。水質汚濁物質の濃度低減と資源回収を同時に実施できる技術として、豚ぷん尿から肥料成分を結晶化法により回収する技術が(独)農研機構畜産草地研究所で開発されているので、この方法で回収されるリン酸資材(リン酸マグネシウムアンモニウム:MAP)の肥効特性を明らかにし、農業利用促進を図る。 |
![]()
[成果の内容・特徴] |
| 1. |
豚ぷん尿から結晶化法により回収されたリン酸資材(リン酸マグネシウムアンモニウム:MAP)は、く溶性リン酸26~29%、アンモニア性窒素4.9~5.5%、く溶性苦土14.7~15.9%を含む(表1)。これは、組成式(MgNH4PO4・6H2O)から求められる各成分濃度の90%以上で、純度の良いものが回収されている。ただし、水溶性の成分は少ない。 |
| 2. |
MAP中の重金属濃度は他のリン酸資材と同等かやや低く、特に回収後に調製(水洗)すればより低くなる(表1)。また、未調製品を用いた植害試験でも生育障害は発生せず(データ省略)、作物栽培上の安全性に問題はない。 |
| 3. |
圃場埋設試験の結果、MAPのリン酸と苦土成分は緩やかに減少し(図1)、残存している成分はく溶性であるため(データ省略)やや緩効性といえる。一方、MAPの窒素成分はリン酸や苦土より速やかに溶出し、速効性である(図1)。 |
| 4. |
他のリン酸資材と比較すると、く溶性リン酸である熔リンは全期間を通してリン酸の残存率は高く、水溶性リン酸を含む重焼リンや過リン酸石灰は初期に残存率が減少する。それに対しMAPは、く溶性リン酸が主体であるが、リン酸残存率は緩やかに減少し、熔リンとは異なる(図2)。 |
| 5. |
チンゲンサイのポット栽培試験の結果、リン酸の肥効はMAP=重焼リン>過リン酸石灰>熔リンとなり、MAPのチンゲンサイの施肥反応としては、く溶性を主成分とする熔リンよりも、水溶性とく溶性を併せ持つ重焼リンに近い(表2)。 |
|
![]()
[成果の活用面・留意点] |
| 1. |
畜産草地研究所で開発された技術では、豚舎汚水の性質(リン酸イオン濃度等)にもよるが、肥育豚1,000頭規模の一貫経営の養豚農家を想定すると、最大で1日におよそ1.7kgのMAPが回収できる。 |
| 2. |
本試験のMAPは粒度選別をせず回収品をそのまま使用した(粒度は概ね2mm以下)。 |
| 3. |
豚ぷん尿回収MAPは、すでに肥料登録のある下水道処理水から回収されるMAPとは生産工程(原料等)が異なるため、肥料登録にあたっては専門機関に確認する必要がある。 |
|
![]() [具体的データ] |
|
|
![]() [その他] |
研究課題名:結晶化法によるリン除去回収技術の簡易化・低コスト化手段の開発
予算区分:実用技術
研究期間:2006~2008年度
研究担当者:上山紀代美、竹本稔、鈴木一好(畜産草地研)
|
|
| 目次へ戻る |