黄色ブドウ球菌性乳房炎の治癒率は細菌の遺伝子型により異なる


[要約]
当所の乳房炎由来黄色ブドウ球菌は、PFGE法により2つの遺伝子型に分類され、治癒率及び保有する病原遺伝子が異なる。また、保有する病原遺伝子と初発及び再発時の治癒率との関連は認められない。

[キーワード]黄色ブドウ球菌、乳房炎、PFGE法、遺伝子型

[担当]静岡畜研・安全生乳プロジェクトスタッフ
[代表連絡先]電話:0544-52-0146
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]研究・参考

[背景・ねらい]
牛乳房炎から分離される黄色ブドウ球菌(SA)は、パルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)法により16系統60パターンの遺伝子型に分類され、遺伝子型によって、保有する病原因子が異なることが報告されている。そこで、菌の遺伝子型や、保有する病原因子の違いが乳房炎治癒及び再発に関連するかを調査する。

[成果の内容・特徴]
1. 当所の乳房炎由来SAはPFGE法により16系統の中の2系統(A、B)に属する遺伝子型に分類され(図1)、A遺伝子型の初発と再発の治癒率に差が認められる(表1)。
2. エンテロトキシンC(SEC)遺伝子、毒素ショック症候群毒素(TSST-1)遺伝子、フィブロネクチン結合タンパク(Fnbp)B遺伝子の保有率は遺伝子型で異なる(表2)。
3. SA乳房炎の初発時及び再発時の治癒率はSEC、TSST-1、FnbpB遺伝子の保有に関係なく、差は認められない(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. SA乳房炎の遺伝子型を同定することにより、乳房炎の治癒率が予測できることを示す知見として活用できる。
2. 今回調査した以外の遺伝子型及び病原遺伝子について治癒との関連性を検討する必要がある。

[具体的データ]
図1SAの遺伝子型 表1 遺伝子型別の治癒率
表2 遺伝子型別の病原遺伝子保有率
表3 病原遺伝子別の治癒率

(小柳寿文)

[その他]
研究課題名:安全な生乳生産に影響を及ぼす要因の特定と対策
予算区分:県単
研究期間:2008~2010年度
研究担当者:小柳寿文、檀原麻実、赤松裕久

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