"カンピロバクター"のウシ胆汁中の汚染実態


[要約]
富山県内の食肉処理場において肝臓が廃棄されないウシの胆汁中からのカンピロバクター分離率は44%である。感染は枝肉重量に影響しないが、広くまん延していることから肉用鶏と同様なリスク管理が必要と考えられる。

[キーワード]ウシ、胆汁、カンピロバクター

[担当]富山畜研・酪農肉牛課
[代表連絡先]電話:076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(大家畜)
[分類]行政・参考

[背景・ねらい]
2007年に農林水産省が食品の安全性に関するリスク管理を優先的に行うべき有害微生物の一つとして"カンピロバクター"を選定し、5年間(2007~2011年度)におけるサーベイランス・モニタリング計画に基づき、肉用鶏の汚染実態調査等が行われている。
  一方、発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉以外に牛生レ
 バーが疑われる事例が多いものの、その汚染実態については十分に把握されていない。 本調査では、食肉検査所で肝臓が廃棄されなかったウシにおける胆汁中のカンピロバクターの汚染状況とその汚染要因について検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 全ての品種で胆汁中からカンピロバクターが分離され、全体で44%の汚染率である。分離率は、品種間の比較では交雑種が最も高く、いずれの品種でも去勢雄が未経産より高い傾向を示す(表1)。
2. カンピロバクターの季節ごとの分離率は、交雑種で春が高く、ホルスタイン去勢牛では秋・冬が高いが、図1に示すとおり一定の傾向はなく、季節変動が大きな汚染要因とは考えられない。
3. カンピロバクター分離牛群に出荷月齢の遅れや枝肉重量の低下など、生産性に及ぼす影響は認められない(表2)。
4. いずれの経営形態でもカンピロバクターが分離される。同一品種で見ると経営形態による差は小さい。一方、同一経営体で素牛を導入していても、農場によって分離率は異なる(表3)。
5. 以上の結果は、カンピロバクターの感染は、農場の衛生状態や飼養管理形態に関係なく広くまん延している。また、生産性に影響は認められないが、食中毒の発生状況から鑑みて肉用鶏と同様のリスク管理(http://www.mhlw.go.jp/qa/syokuhin/campylo/index.html)が必要と考えられる。

[成果の活用面・留意点]
1. カンピロバクター食中毒への対応策に利用できる。また、ウシの肝臓は、加熱調理すべきである。
2. 用いたデータは、2009年9月から2010年8月までに富山食肉総合センターに搬入され、富山県食肉検査所が肉眼検査等により肝臓が廃棄されなかったウシ胆汁中のカンピロバクターの分離をサーベイランス・モニタリングに準じて行ったものである。

[具体的データ]
図1.季節ごとのカンピロバクター分離率の推移

(富山畜研)

[その他]
研究課題名:牛胆汁中の病原微生物の実態分析
予算区分:地域イノベ
研究期間:2009~2010年度
研究担当者:蓮沼俊哉、久保博文、廣瀬富雄

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