イタリアンライグラスほ場における一年生雑草の耕種的防除法


[要約]
イタリアンライグラスほ場における耕種的雑草防除として、10月15日播種+1回耕起+無鎮圧+播種量4kg/10aが、一年生雑草の被度も低く、イタリアンライグラスの収量を確保できる。

[キーワード]イタリアンライグラス、一年生雑草、耕種的防除

[担当]栃木酪試・草地飼料研究室
[代表連絡先]電話:0287-36-0768
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
イタリアンライグラスでは登録農薬が少なく、雑草防除が課題となっている。雑草の発生は、イタリアンライグラスの収量低下を招き、自給飼料の安全性低下にもつながる。また、温暖化の影響で秋冬の気温が上がり、播種適期がずれてきている。
  そこで、イタリアンライグラス(品種名:ワセアオバ)のほ場において、播種時期・耕起回数・鎮圧の有無・播種量等、雑草の耕種的防除を検討し、薬剤に頼らない栽培体系を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 耕種的防除法として、播種日(10月5日、10月15日、10月25日)と荒起こし後の耕起回数(1回、2回)、鎮圧(無、有、冬季鎮圧〔初期生育時の12月中下旬に行う鎮圧:冬季鎮圧は麦類の栽培で行われており、生育ステージを揃え、分げつを促進し、増収する効果がある。〕)、播種量(2kg/10a、4kg/10a)を組み合わせる(表1)。耕起1回には鎮圧全種、耕起2回には鎮圧有と無鎮圧を組み合わせる。化学的防除法としてグリホサートカリウム塩液剤を耕起前に散布したほ場を用いる。また、無処理として荒起こしし、通常播種を行った区を無処理区とする。
2. 一年生雑草の被度は、播種が遅くなるほど低くなり、早くなるほど高くなる。これは播種前の耕起により、雑草の発芽生育が遅れるためである。また、播種量を多くするとイタリアンライグラスの被度が高まるため、雑草の被度は低下する。また、冬季鎮圧(初期生育時の12月中下旬に行う鎮圧)は、春季におけるイタリアンライグラスの起生が遅れるため、一年生雑草の生育が早まり、最終的に雑草被度が高まる(図1)。
3. 乾物収量は10月15日播種が最大となり、10月5日播種では低くなる。また播種量を多くすると、イタリアンライグラスの被度が高まるため、乾物収量は増加する。また、冬季鎮圧はイタリアンライグラスにダメージを与えるため、乾物収量は低下する(図2)。10月25日播種では、2007年に播種後の少雨のため発芽不良が発生し、一部で欠測が発生した。
4. 耕種的雑草防除として、10月15日播種+1回耕起+無鎮圧+播種量4kg/10aが一年生雑草の被度を低下させ、イタリアンライグラスの収量を確保できる。

[成果の活用面・留意点]
1. ギシギシ等多年生雑草の発生が見られる場合は、防除効果が劣るので、薬剤を散布するなどの対策をとる。
2. 雑草抑制効果を高めるために、イタリアンライグラスの被度・生育量が低下しないよう播種時期には注意すること。
3. 試験期間の栃木県那須塩原市千本松における播種日前後5日の平均気温は、10月5日で16.6℃、10月15日で15.0℃、10月25日で13.9℃である。

[具体的データ]
表1 播種日-耕起回数-鎮圧-播種量の組み合わせ
図1 収量調査時における一年生雑草の被度(2006~2009の平均)
図2 イタリアンライグラスの10aあたりの乾物収量(2006~2009の平均)

(栃木酪試環境飼料部)

[その他]
研究課題名:飼料作物生産における雑草防除法の確立
予算区分:県単一部受託
研究期間:2006~2010年度
研究担当者:九石寛之、増山秀人、佐田竜一
発表論文等:栃木県酪農試験場試験研究成果集・業務報告書

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