ダイレクト収穫体系におけるオオムギホールクロップサイレージの調製適期


[要約]
フレール型収穫機によりダイレクト収穫体系で調製したオオムギWCS発酵品質は、乳熟期では劣質発酵になりやすいが、糊熟期では調製から3カ月経過後もV-scoreは「良」評価を維持する。また糊熟期は、子実の充実で炭水化物含量も高まるため調製適期となる。

[キーワード]ダイレクト収穫、オオムギWCS、発酵品質、フレール型収穫機

[担当]群馬畜試・資源循環係
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
良質自給飼料生産拡大のため、二毛作地域では水田表裏を活用した飼料用イネ-飼料用麦類栽培が取り組まれている。しかし、全国的に普及しているイネホールクロップサイレージ(以下WCS)と比較し、ダイレクト収穫体系による飼料用麦類WCSは発酵品質や保存性に関する知見は少ない。
  そこで、水田裏作で栽培した「シュンライ」および「セツゲンモチ」をそれぞれ乳熟期と糊熟期にフレール型収穫機を用いてWCS調製し、その発酵品質を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 全ロールベール重量を計測して算出した実測乾物収量は、坪刈乾物収量値の70%程度に留まる。糊熟期のロールベール重量は、乳熟期と比べ水分含量の減少により約1割低下する。乾物密度は、糊熟期には良質な調製の目安と言われる150㎏/m3と同等まで高まる(表1)。
2. 水分含量は、乳熟期までは70%以上あるが、糊熟期に達すると65%前後まで低下する。登熟に伴い粗タンパク質(CP)、粗灰分(CA)、繊維成分は低下するが、子実が充実するため、非繊維性炭水化物(NFC)や細胞内容物(OCC)は上昇する(表2)。
3. 乳熟期の発酵品質は、2品種ともn-酪酸の生成が多く、調製後3カ月までV-score評価は「不良」のまま経過する。一方、糊熟期では、良質発酵の条件が整うため、乳酸発酵によりV-score評価は3カ月間を通して「良」を維持している。乳熟、糊熟期調製とも保存期間の経過につれ、n-酪酸、VBN/TNなどが上昇するため、品質は除々に低下する(表3)。
4. オオムギWCSの収穫調製は、収量性、水分含量、および発酵品質から糊熟期が適期である。

[成果の活用面・留意点]
1. フレール型収穫機(YWH1400A)で収穫し、ラップフィルムを6層巻きで梱包した場合の成績であり、オオムギWCS調製時期の判断と保存性の指標になる。
2. 「シュンライ」「セツゲンモチ」ともに出穂期は4月23日であり、出穂期から数え乳熟期、糊熟期の登熟は、それぞれ21日後、28日後にあたる。
3. オオムギは、5月中に糊熟期となるため県内(関東北部)二毛作地帯に適する。
4. 糊熟期の判断は、子実が肥大・充実し糯状になる。また茎葉を含めた水分含量が70%以下になった頃である。
5. 刈り遅れは、収量、栄養価および嗜好性の低下ならびに収穫時の子実脱粒が懸念され、圃場利用も長引くので、適期収穫に留意する。

[具体的データ]
表1 各熟期の収量性とロールベール形状
表2 各熟期の飼料成分
表3 発酵品質の変化

(群馬畜試)

[その他]
研究課題名:飼料用の稲麦二毛作体系を基軸とした持続的な飼料生産技術の開発
予算区分:委託プロ(国産飼料プロ2系)
研究期間:2010~2014年度
研究担当者:横澤将美、佐藤拓実、阿部正美(技術支援課)

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