スクリュー型接触材を用いた生物膜法による酪農雑排水浄化処理技術


[要約]
スクリュー型接触材を用いた生物膜法(回転円板法)は、酪農雑排水を排水基準以下に浄化処理できる。この浄化処理には、定期的なスクリーンの清掃と半年に1回の汚泥抜き以外に特に維持管理を必要とせず、省力化できる。

[キーワード]スクリュー型接触材、生物膜法、酪農雑排水、浄化処理

[担当]愛知農総試・畜産研究部・畜産環境グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
酪農雑排水は、生乳成分などが混入し、BODやCODといった汚濁物濃度が高いため適切な浄化処理が必要である。しかし、日々の濃度変動が大きいため、既存の活性汚泥法では、汚濁物濃度に応じたきめ細かな維持管理が必要となり、労力的に負担が大きい。このため、汚濁物濃度の変動が大きくても、容易に維持管理できる装置が求められている。
 そこで、汚水の汚濁物濃度の変化に強い生物膜法を用いた維持管理の簡単な浄化処理技術を開発した。
 ※「酪農雑排水」:搾乳器具や搾乳場所の洗浄を行う際に、多量に発生する洗浄排水。

[成果の内容・特徴]
1. 開発した装置は、原水槽、スクリーン、接触酸化槽、沈殿槽で構成されている(図1)。原水槽およびスクリーンを通過した汚水は、接触酸化槽と沈殿槽の間を循環し(21時間/日)、接触酸化槽にあるスクリュー型接触材に付着した微生物により浄化処理される。処理水は、3時間/日循環を止めることによって沈殿槽で汚泥を分離し、放流する。
2. 接触材をスクリュー型にしたことにより、接触材から剥がれ落ちた汚泥がスクリューの回転によって順次押し出されるため、生物膜法(回転円板法)の欠点である流路の閉塞は発生しない。また、接触材の周縁につばをつけたことにより、接触材の表面積を拡大し、浄化処理能力が向上する(図2)。
3. 酪農雑排水の汚濁物濃度は、日変動が大きく、T-N以外では排水基準値を上回るが、この技術により、処理水の汚濁物濃度は排水基準値よりも低くなる(表1)。
4. この技術では、流路の閉塞が発生しない上、余剰汚泥の発生量も少ないため、定期的なスクリーンの清掃と半年に1回の汚泥抜き以外は特に維持管理を必要せず、省力化できる。
5. 水温が10℃を下回ると汚濁物除去率は低下する(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 低温時には、ビニールで覆う等の保温対策を講じる必要がある。
2. この技術は、原汚水の汚濁物濃度や汚水量に応じてスクリューの数を増減させれば、他の汚水の浄化処理にも利用可能である。

[具体的データ]
図1 開発した生物膜浄化処理装置の概要  図2 スクリュー型接触材
    表1 実証機による酪農雑排水の浄化処理効果
      図3 水温と汚濁物除去率との関係

(日置雅之)

[その他]
研究課題名:パーラー排水の低コスト浄化処理技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2008~2010年度
研究担当者:鈴木良地、日置雅之、榊原幹男
発表論文等:鈴木ら (2010)愛知農総試研報42:121-124

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