FRP製パネルタンク浄化槽による含廃棄乳ミルキングパーラー排水の浄化処理


[要約]
容積の大小に対応可能なFRP製パネルタンクを用いて、廃棄乳とパーラー排水を浄化処理する。廃棄乳混入は、BOD容積負荷0.26kg/m3・日以下であれば、冬季においても最終放流水のBOD等の低減が可能であり水質汚濁防止法の許容限度以下とすることができる。

[キーワード]FRP製パネルタンク、廃棄乳、ミルキングパーラー、排水浄化処理

[担当]神奈川畜技所・企画経営担当
[代表連絡先]電話:046-238-4056
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(畜産環境)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
含廃棄乳ミルキングパーラー排水はBOD負荷が高いため、既存浄化槽での活性汚泥処理では処理水への影響が懸念される。そこで、BOD容積負荷に対応し曝気槽容量を簡単に大きくできるFRP製パネルタンク浄化槽による含廃棄乳ミルキングパーラー排水の浄化を試みる。

[成果の内容・特徴]
1. 水処理用硬質塩化ビニル製充填材「ヒシパッキン」が比表面積220m2/m3で充填された、容積15.4m3の接触曝気槽を持つFRP製パネルタンク浄化槽(図1)を用いる。
2. 当センターでは搾乳牛20頭を飼養し、処理対象汚水は、ヘリンボーン式単列6頭用ミルキングパーラーから排出されるミルキングパーラー排水と廃棄乳である。有機物及び脂肪分解能を有した2種類の微生物資材(バチルス属)100gを5リットルの水に溶解し、週1回の割合で第1曝気槽に投入する。
3. ミルキングパーラー排水に対する廃棄乳の混入割合と汚水BOD濃度との間に正の相関関係が見られ、含廃棄乳ミルキングパーラー排水のBOD容積負荷の推定が可能である(図2)。
4. 廃棄乳の投入量を制限せず行った試験では、BOD容積負荷は0.13~0.51kg/m3・日で、0.3 kg/m3・日を上回る際には、放流水の水質が悪化する傾向が見られる。
5. 廃棄乳の投入量の上限値を20kg/日(廃棄乳とパーラー排水の合計BOD容積負荷量が0.26kg/m3・日以下)に設定し、試験をしたところ最終放流水の性状は、BOD148、COD116、SS148mg/リットルとなり水質汚濁防止法の許容限度以下である(表1)。
6. 最終処理水の窒素組成とBOD容積負荷の関係から、低負荷時には硝化が進んでいるが、負荷がかかるにつれてアンモニア態窒素が残存する。このことから高負荷時における本装置の曝気槽内への酸素供給量が不足していることが示唆される(図3)。
7. 水温の低下する冬季においては、BOD容積負荷を低負荷に設定してもアンモニア態窒素が残存し、硝化が抑制される(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 含廃棄乳パーラー排水を浄化処理する場合、畜舎汚水を浄化処理する場合に比べ、酸素消費量が大きく浄化機能が低下する恐れがあるので、BOD容積負荷の設定に注意を要する。
2. FRP製パネルタンクは、0.125m3(0.5m×0.5m×0.5m)単位で増設が可能である。

[具体的データ]

(川村英輔)

[その他]
研究課題名:FRP製パネルタンクを用いた含廃棄乳ミルキングパーラー排水の浄化処理
予算区分:受託
研究期間:2009年度
研究担当者:川村英輔、田邊 眞

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