‘ハヤシ-スマートシステム’による醸造用ブドウの高糖度果実の省力的生産


[要約]
‘ハヤシ-スマートシステム’は、主枝を南北に伸ばし側枝を東西方向に1.2m間隔で配枝して更に新梢を北に誘引する片側短梢せん定法で、醸造用ブドウにおいて高糖度果実を省力的に生産でき収量も確保できる。

[キーワード]醸造用ブドウ、仕立て法、片側短梢せん定、省力化

[担当]長野果樹試・栽培部(旧長野中信農試・畑作栽培部)
[代表連絡先]電話:026-246-2411
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
長野県では原産ワインの品質向上のため、平成13年から長野県原産地呼称管理制度が創設され、糖度の高い醸造用ブドウ生産が望まれている。一方既存産地の塩尻市においては、醸造用ブドウ生産農家の高齢化や後継者不足は深刻な課題となっている。これを解決するために‘ハヤシ-スマートシステム’が地元ワイナリーから提案され、現地では既に導入が進んでいる。そこで、‘ハヤシ-スマートシステム’の果実生産特性を解明し、省力性の検討を行う。

[成果の内容・特徴]
1. ‘ハヤシ-スマートシステム’では南北に主枝を配枝し、側枝を1.2m間隔で東西に伸ばす。そして約20㎝おきに結果枝を北側に向かって平行に配枝する。せん定は、2~3芽残して前年の結果枝を切る片側の短梢せん定である(図1)。
2. この仕立て法のベースとなった‘スマート-マイヨルガーシステム’との相違点は新梢の誘引時に折損を回避し、作業を容易にするため芽座を棚下に配置することである(図2)。
3. ‘ハヤシ-スマートシステム’の果実は自然形長梢せん定樹の果実と比べ、房長、房重、着粒数と1粒重には顕著な差はないが果実糖度は高い。‘メルロ’、‘ナイアガラ’においては3年間の平均糖度がそれぞれ21.5Brix%、17.1Brix%に達する。また‘メルロ’の酸度は自然形整枝長梢せん定栽培より低い(表1)。
4. ‘ハヤシ-スマートシステム’では自然形整枝長梢せん定栽培に比べ管理作業の省力化が図られ、特にせん定、新梢・房管理の省力効果が高い(表2)。
5. ‘メルロ’の収量は1.3~1.8t/10aで、3年間の平均で1.6t/10a となり、地域の契約栽培における収量上限とされている1.7t/10aに近い収量が得られる。

[成果の活用面・留意点]
1. この仕立て法に関しては樹形改造をした樹の試験成績である。
2. せん定、新梢管理に関しては初心者でも理解しやすいため雇用労働利用が可能である。

[具体的データ]

(山下裕之)

[その他]
研究課題名:長野県ブランドワインのための‘スマート仕立て’による醸造用ブドウの高品質・高位安定生産技術の確立
予算区分:県単プロジェクト
研究期間:2007~2009年度
研究担当者:山下裕之、重盛勲、島津忠昭 

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