切花用ヒマワリとシクラメンにおける日中ミスト冷房と夜間水熱源ヒートポンプ冷房の併用効果


[要約]
ミスト冷房は日中ハウス内温度を外気温と同程度に、水熱源ヒートポンプ冷房は夜間温度を外気温に対し5℃低下させる。この冷房効果で、ヒマワリ、シクラメンともに開花が促進し、品質が向上する。

[キーワード]ヒマワリ、シクラメン、水熱源ヒートポンプ、冷房

[担当]東京農総研・園芸技術科・花き研究チーム
[代表連絡先]電話:042-528-0505
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
ヒートポンプは、これまでバラ農家などの大規模な施設で全国的に導入されている事例が多いが、東京都では活用されている実績はほとんどない。そこで、比較的小規模なパイプハウスでも低コスト導入できる、地下浅層に埋設したポリエチレンパイプを介した水熱源ヒートポンプシステムを開発する。ここでは、このシステムを用いた冷房と棚下ミスト冷房を組合せ、高温時における冷房効果が切花用ヒマワリやシクラメンの品質に与える影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 日中は、棚下に設置したミスト装置(粒径100ミクロン程度)と撹拌ファンによる蒸発冷却で、夜間は、地中30cmに埋設したポリエチレンパイプを介した水熱源ヒートポンプ(HP1)で冷房を行う。断熱性を高めるため二重空気膜を活用し、井戸水と冷熱源蓄熱(HP2)を得ることで熱源を確保する(図1)。
2. 日中のミスト冷房は外気温と同じ程度まで、夜間のヒートポンプ冷房は、外気温と比べ約5℃低下させる能力がある(図2)。このときの電力消費量は38.1kwh/日である(データ略)。
3. 切花用ヒマワリでは、供試した2品種で、頭花径が増加するなど品質が向上する。また、開花までの葉数が少なく開花が早まる(表1)。
4. シクラメンは、冷房効果が顕著で株径など生育が良好である。花柄径は変わらないが、花弁幅が広くなるなど品質が向上する。また、開花が早まり、有効花数も30個以上多くなるなど高温の悪影響が避けられる(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. ヒートポンプは冬期の省エネ暖房を大きな目的とするが、冷房や除湿機能を活用することで、作期拡大、品質向上などに寄与できる。冷房単独ではヒートポンプの性能が十分発揮できないため、暖房を含め総合的に判断する必要がある。
2. 冷房時は換気窓を閉める必要があり、換気窓は可能ならば自動化する。

[具体的データ]
図1 冷房システムの概略図(冷房区)  図2 ヒートポンプ等による冷房効果
表1 冷房が切花用ヒマワリの品質に与える影響
表2 冷房がシクラメンの生育に与える影響

(岡澤立夫)

[その他]
研究課題名:低炭素時代にむけた自然エネルギー利用率を最大限に高める施設栽培用ヒートポンプシステムの開発
予算区分:実用技術
研究期間:2009~2010
研究担当者:岡澤立夫、島地英夫、片岡真弓、田旗裕也、沼田洋子

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