大玉トマト袋培地栽培における気化潜熱を利用した夏期の昇温抑制技術


[要約]
大玉トマト袋培地栽培において袋培地に被覆した保水性不織布に散水することにより、慣行の遮熱シート被覆と比較して、最高培地温・室温を5℃程度、平均培地温を3℃程度及び平均室温を2℃程度昇温抑制し、尻腐れ果や生育障害の発生が軽減できる。

[キーワード]袋培地、大玉トマト、保水性不織布、散水、培地温低下

[担当]愛知農総試・園芸研究部・野菜グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
大玉トマトの栽培では、単価の高い10月収穫を目的として作型の前進化(7月定植)が増加している。こうした作型に愛知農総試が開発した袋培地栽培システムを適用すると培地の温度が上昇しやすいため、尻腐れ果や生長点付近の生育障害が発生し易く対策が必要である。本研究では袋培地に被覆した保水性不織布への散水により、気化潜熱を利用して昇温抑制して、尻腐れ果や生育障害の発生を軽減し、安定生産を目指す。

[成果の内容・特徴]
1. 図1のように袋培地全体に保水性のある不織布(ジャームガード(R))を密着するように掛けて、そこに袋から15㎝離れた通路両側から散水チューブ(エバフロー(R)M型)で植物体に掛からないように袋全体に7月定植時から培地温が35℃を超えなくなる9月中旬まで午前9時から午後7時まで30分毎5分間(2L/袋)散水し、気化潜熱を利用する。
2. 保水性不織布+散水は遮熱シート(慣行)に比べ、最高培地温が5℃程度、平均培地温が3℃程度低下し、最高室温が5℃程度、平均室温が2℃程度低下する(図2)。
3. 尻腐れ果の発生率は、遮熱シート(慣行)の4.6%に比べ、保水性不織布+散水は0.6%と低くなる。遮熱シート(慣行)では生育障害が25.0%発生するが、保水性不織布+散水では発生しない(表1)。
4. 10a当たりの収量は、遮熱シート(慣行)に比べ、保水性不織布+散水は可販果収量が32%多く、不良果収量が25%少ない(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 袋培地栽培システムで大玉トマトを7月に定植する場合に適する。曇天・雨天時は散水を中止する。
2. 果実への散水は裂果を誘発するので、植物体に掛からないようにする。

[具体的データ]
図1 保水性不織布と散水チューブの模式図 図2 保水性不織布+散水と遮熱シート(慣行)の培地温と室温の日変化(2009年8月11日調査)
表1 保水性不織布への散水による大玉トマトの尻腐れ果・生育障害発生軽減効果 図3 保水性不織布への散水が収量に及ぼす影響

(志知昭宏)

 
[その他]
研究課題名:ミニトマト及び大玉トマトにおける袋培地栽培技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2008~2010年度
研究担当者:志知昭宏、山下文秋、榊原政弘、浅野義行

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