多収・高品質てん茶生産を10年間維持する点滴施肥技術
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| [要約] |
多収で高品質なてん茶を生産できる愛知県方式の点滴施肥(施肥窒素量を3割削減し、窒素(50㎏/10a/年)、リン酸、カリのみを点滴施用)は、少なくとも10年の長期にわたり継続栽培が可能である。 |

[キーワード]チャ、てん茶、自然仕立て、点滴施肥、継続栽培、収量、品質、茶園土壌、環境負荷低減 |

[担当]愛知農総試・東三河農業研究所・茶業グループ
[代表連絡先]電話:0532-61-6235
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・普及 |
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| [背景・ねらい] |
愛知県方式のてん茶の点滴施肥(愛知県農業総合試験場:農業の新技術No84「てん茶の点滴施肥栽培」2006)は、施肥量・労力を削減すると同時に増収・品質向上を可能にする環境にも優しい栽培技術である。しかし、水の確保、初期投資が必要な上、長期継続栽培による茶樹や茶品質への影響が不明であるため、簡単に導入に踏み切れないのが現状である。そこで、この技術の普及を推進するために、長期継続栽培の影響を検討する。 |
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[成果の内容・特徴] |
| 1. |
自然仕立て茶園(「やぶきた」)における点滴施肥の枝条及び新芽の生育は、慣行施肥に比べ良好で、収量は10年を通じて慣行より多収である。点滴施肥における荒茶の全遊離アミノ酸含有率は慣行施肥より高く推移し、官能審査では慣行施肥と同等以上の評価である(図1)。 |
| 2. |
試験開始後9年目の茶園土壌の化学性を見ると、点滴施肥では、慣行施肥に比べ、土壌pHは高く、ECは極めて低くなり、無機態窒素、T-C、T-N、CEC、トルオーグリン酸が減少している。これは、有機物を施用せず、毎日少しずつ必要な量の肥料のみを施用する当点滴施肥の特徴であり、チャ生育上の問題点はない(表1)。 |
| 3. |
点滴施肥システムを導入した茶園での収益は、点滴施肥の効果が比較的小さい場合(荒茶生産量で10%増加すると仮定)でも、年間10a当たり98,600円の収益増となる。システム設置費を40万円/10aとすると、設置費回収期間は4.1年となり、更に施肥に関する労力削減効果を考慮すると、導入のメリットは大きい(表2)。 |
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[成果の活用面・留意点] |
| 1. |
液肥以外の肥料成分及び微量要素は用水及び土壌中からの供給で十分賄われているが、持ち出し量が多くなる場合や使用する用水の肥料成分濃度、土壌条件によっては、施肥成分以外の成分が不足し、定期的な有機物、資材の補給が必要となる。 |
| 2. |
灌水については過湿にならないよう注意する。また、排水不良園で点滴施肥システムを導入する場合には、排水対策を行う。 |
| 3. |
機械摘み茶園の場合でも、点滴施肥の効果は期待できるが、荒茶単価が安いため、点滴設置費回収期間は自然仕立て茶園より長くなる。 |
| 4. |
システムにpFセンサー(土壌水分計)を組み入れれば、灌水量を削減することが可能である(気象条件により節水効果は異なる)。
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| 5. |
本成果は、水の確保について行政等の支援を受ける上で有用な情報となると同時に、近年の高温、干ばつ等の異常気象にも対応できる技術である。また、硝酸性窒素の溶脱及び亜酸化窒素の排出を削減し、環境負荷低減に大きく貢献できる。 |
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[具体的データ] |
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| [その他] |
研究課題名:茶の高位持続的生産のための養水分管理法の検討
予算区分:県単
研究期間:2000~2010年度
研究担当者:白井一則、辻正樹、樋江井清隆、辻浩孝、木下忠孝
| 発表論文等: | 1) 白井ら(2010)愛知県農総試研報42:163-170
2) 木下(2006)農業および園芸、81(5):597-605 |
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