多用途向け多収品種「ふくおこし」の認定品種採用


[要約]
水稲「ふくおこし」は中生の早の熟期で、耐倒伏性に優れ、いもち病に強い多収、多用途向け品種である。

[キーワード]水稲、多収、多用途

[担当]長野農試・作物部、育種部
[代表連絡先]電話:026-246-9783
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
近年、畜産穀実飼料や米粉用など新規需要米として穀実利用の水稲多収品種の需要が見込まれ、国の食糧自給率向上政策のもと日本各地でその栽培、利用が始められている。しかし、新規用途に向けた米生産は流通価格が主食用より大幅に低いため、多収、低コスト生産が求められる。このため、多収で米粉、醸造用、主食用など多用途に利用ができ、いもち病などの病害に強く、耐倒伏が優れ低コスト栽培が可能な品種を普及させ、収益性の向上を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 中生の早の熟期で、耐倒伏性に優れ、いもち病に強い多収品種「ふくおこし」を認定品種とする。
2. 長野県北部(農業試験場)における移植栽培では慣行窒素施肥量の1.5倍の多肥条件での粗玄米重は90kg/a確保され、コシヒカリ対比132%の多収である(表1)。
3. 標準施肥量でも県南部(南信農業試験場)における標準施肥量の移植栽培では玄米重は90kg/aが確保され、コシヒカリ対比122%の多収である(表2)。
4. 耐倒伏性は強く、多収条件であっても成熟期の倒伏はほとんどない(表1)。
5. いもち病の発生は見られない。
6. 湛水直播栽培ではキヌヒカリ対比113%の多収が得られる(表2)。
7. 醸造用原料としての評価は、掛け米に用いられているコシヒカリと同等である(表3)。
8. 米粉パンに適用でき、米粉としての利用が可能である(表4)。
9. 玄米の外観品質は良好で、炊飯米の食味は「中中」であり、食用に供せる(データ略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本品種は長野県において平成17年に育成され、関東東海研究成果情報に提出した。
2. 平成16度長野県飼料作物(ホールクロップサイレージ)奨励品種として採用されている。
3. 耐冷性が「やや弱」なので高標高地帯での栽培は避ける。
4. いもち病真性抵抗性はPibPikPiaと推定され、いもち病の発生は見られないがレースの変動に留意する。
5. 玄米の外観はやや大粒であるが、被害粒はなく一般的主食用粳品種との識別性はない。

[具体的データ]

(長野県農業試験場)

[その他]
研究課題名:多収米の品種選定試験、奨励品種決定調査 
予算区分:県単(一部国補)
研究期間:2002~2010年度
研究担当者:酒井長雄、高松光生、土屋学、青木政晴、細井淳、小林勉

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