「北陸193号」の収量構成要素および窒素玄米生産効率からみた多収条件


[要約]
「北陸193号」において10a 当たり900kgの収量を確保するためのm2当たり籾数は41,000~42,000粒、成熟期の窒素吸収量は10a 当たり21kg程度である。

[キーワード]北陸193号、多収、収量構成要素、窒素吸収量、窒素玄米生産効率

[担当]石川農研・育種栽培研究部・作物栽培グループ
[代表連絡先]電話:076-257-6911
[区分]関東東海北陸農業・北陸・水田作畑作
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
水田利用率向上の観点から生産調整の枠外で生産可能な多用途利用品種の作付けが急増する中、その用途に応じた品種の多収栽培法の確立が求められている。特に低投入で品種の収量ポテンシャルを安定的に発揮させる栽培法は重要な課題である。そこで、多収品種「北陸193号」について現地試験を含め、様々な条件で栽培した事例から、粗玄米収量(以下収量)10a 当たり900kgを確保するための収量構成要素および窒素玄米生産効率に着目し、多収栽培法についての知見を得る。

[成果の内容・特徴]
1. 収量に最も影響を及ぼす収量構成要素はm2当たり籾数であり(表1)、収量10a 当たり900kgを確保するm2当たり籾数は41,000~42,000粒である(図1)。
2. 図1より、収量はm2当たり籾数45,000粒を越えると低下傾向となる。これは、シンク充填率(収量/シンク容量×100)の低下によるものであるが、m2当たり籾数41,000~42,000粒であればシンク充填率は高く維持できる(図2)。
3. 窒素玄米生産効率を高く維持し、かつ収量10a 当たり900kgを可能とする成熟期の地上部窒素吸収量は10a 当たり21kg程度であり(図3)、その際必要とする総窒素施用量は本試験においては10a 当たり15kg程度と推定される。また、これを上回る窒素施用は、シンク容量(m2当たり籾数×千粒重)(図2)や成熟期の窒素吸収量を増加させるが、必ずしも増収につながらない(図3)。
4. 総窒素施用量を増量すると、m2当たり籾数および成熟期の窒素吸収量が増加し、収量は増加する傾向にあるが(表1)、成熟期の地上部窒素吸収量当たりの窒素玄米生産効率は低下する(図4)。
5. 以上のことから投入する総窒素施用量を最小限に抑えつつ、収量10a 当たり900kgを確保するためのm2当たり籾数は41,000~42,000粒、成熟期の地上部窒素吸収量は10a 当たり21kg程度で、その際必要とする総窒素施用量は10a 当たり15kg程度と推定される。

[成果の活用面・留意点]
1. 本成果は2008~2010年に現地試験(石川県白山市:中粗粒灰色低地土、腐植含量2.1%)と農業総合研究センター(石川県金沢市:細粒グライ土、腐植含量2.5%)で得られたデータを用いており、同様の土壌条件における施肥量の目安となる。
2. 本成果は4月下旬から5月下旬に移植栽培されたデータを用いており、直播栽培や登熟条件が悪くなると予測されるような気象や栽培条件には適用できない。

[具体的データ]
表1 各形質間の単相関係数
図1 ㎡当たり総籾数と収量の関係 図2 シンク容量とシンク充填率の関係
図3 成熟期窒素吸収量と収量の関係 図4 成熟期窒素吸収量と窒素生産効率の関係

(石川県農業総合研究センター)

[その他]
研究課題名:農業用水を核とした健全な水循環に関する研究
予算区分: 国補(手取川温暖化プロ)
研究期間:2008~2010年度
研究担当者:永畠秀樹、宇野史生、工藤卓雄

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