低水分ロールベールラップサイレージの飼料成分を代表するサンプリング位置
-
[要約]
-
圃場で縦積み貯蔵した低水分ロールベールラップサイレージの水分、粗蛋白質、繊維成分含量を代表する値を得るためには、直射日光の当たりにくいロール北面の上・下部又は東面の上・下部の表面から深さ20cmまでを1箇所サンプリングすれば良い。
北海道農業試験場・畜産部・飼料評価研究室
[連絡先]011-857-9236
[部会名]畜産・草地(草地)
[専門] 動物栄養
[対象] 家畜類
[分類] 研究
-
[背景・ねらい]
-
近年、ロールベールラッピング技術の普及とともに、低水分ロールベールサイレージの地域内流通が行われ始めたが、ロールベールサイレージの品質を評価するためのサンプリング方法は標準化されていない。そこで、ロールベール内の飼料成分の部位間変動を解析し、低水分ロールベールサイレージ全体の飼料成分を代表させることができるサンプリング位置の検討を行った。
-
[成果の内容・特徴]
-
チモシー及びアルファルファ1番草をそれぞれ早刈り、適期刈り、遅刈りの時期に収穫し、水分を30〜50%に予乾したロールベールラップサイレージ12個を圃場で縦1段積みで約2カ月間貯蔵した後、それぞれから21箇所ずつ(図1)サンプリングし、飼料成分を分析した。
1. ベール表層のサンプリングは、試作したドリル式円筒型サンプラー(直径7cm、長さ26cm)で表面から深さ20cmまでを抜き取った。内側はロールカッターで切断し採取した。
2. サイレージ内の水分、粗蛋白質、繊維含量のバラツキは原料草のそれと比較して大きく、ロール内部で成分ムラがみられた。
3. 水分、粗蛋白質、繊維の代表値が得られる部位は、サンプリングした21箇所中7箇所であった(表1、図1の「★」の部分)。
4. 以上の結果及び作業性から総合的に判断して、低水分ロールベールサイレージの品質 を評価する場合、直射日光の当たりにくい貯蔵時の北面の上部、北面の下部、東面の上 部、東面の下部(図1のD、N、P、@の位置で、表面から20cm内部までの範囲)のいずれか1箇所からサンプリングすれば良い。
-
[成果の活用面・留意点]
-
1. 低水分ロールベールサイレージの品質を簡易に評価する際の基礎資料となる。
2. 水分55%以上もしくは30%以下のロールベールへの適用に際しては、別途検討が必要である。
3.貯蔵環境(日射量、日照時間、気温等)が大きく異なる場合には再度検討が必要である。
[その他]
研究課題名:低水分サイレージの品質予測技術と評価技術の開発
予算区分:総合的開発(高品質輪作)
研究期間:平成7年度(平成6〜8年度)
発表論文等:低水分ロールベールサイレージのサンプリング位置の検討、日草誌、第41巻 別号、1995
目次へ戻る