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Our Project Activities
プロジェクトの成果
Ⅱ -革新コア技術実用化タイプ11
ライスセンター設備の各種データの収集・統合を実現 ライスセンター用スマート生産支援システム
研究開発プロジェクト担当

農研機構 中日本農業研究センター、(株)サタケ、(有)穂海農耕、農研機構 農業機械研究部門
ライスセンターにおける「省力化」と「情報利活用」の要素技術研究を通じ、ライスセンターを核とした生産支援システムの製品化に貢献します。
開発レポート
開発の背景・成果

 農地の集積・集約が進み、米生産法人の大規模化が進展する中で、中小規模の穀物乾燥施設(ライスセンター)における「省力化」と「情報利活用」のニーズが高まっています。「省力化」については、各機器の自動化は進んでいるものの、機器同士を連動させるシステムの自動化が遅れており、農繁期に多くの作業人員が必要な状況です。また、「情報利活用」については、スマート農業の進展により、ほ場のデータ利用は進んでいますが、ライスセンター内外とのデータ連携は進んでいません。ライスセンターで取得できる水分、整粒割合、被害粒割合、製品重量などの情報をほ場データと連携させることで、栽培から製品化までの一貫した営農・品質管理(PDCAサイクル)が可能になります。

 農研機構に対し、生産現場からこれら「ライスセンターのスマート化」に関する開発・実用化の要望が寄せられたため、農研機構、(株)サタケ、(有)穂海農耕からなるコンソーシアムを結成し、2020年度から2022年度まで農業機械技術クラスター事業の中で実用化に向けた共同研究に取り組んできました。

 同事業において、既存ライスセンターへ省力化、情報利活用に繋がる各種機能を追加した機器を設置し、現地実証に取り組んだ結果、この度、共同研究企業からライスセンター用スマート生産支援システムの市販化に至りました。

開発機の概要

 開発したシステムは、稲作の各工程をデジタルで可視化・管理し、品質向上・効率化・技術継承を支援するスマート農業ツールです。ライスセンターに設置された機器に通信機能を持たせることで、機器の稼働状態を遠隔監視するアプリ機能を備えています。

 さらに、ライスセンターで得られるデータ、例えば、「製品玄米の重量」や「品質(色彩選別機からの被害粒混入度合い)」をクラウドに自動で収集・蓄積し、ほ場データ(WAGRIの農地ピン・筆ポリゴンのAPIを活用)と紐付けることで地図上に可視化する機能もあります。これにより、地域や生産年毎の収量や品質の違いを直感的に把握できるようになります。

開発機の性能・評価

(有)穂海農耕のライスセンターで3年間実証を行った結果、生産者からは次の評価を得ました。
1.作業の効率化:乾燥機の稼働状況をスマートフォンでリアルタイムに確認できるようになり、現場に行かなくても状況把握が可能になった。また、異常があれば通知が届くため、夜間や休日の見回りが不要になり、労力が大幅に軽減した。
2.データの可視化:収量や品質のデータを地図上に色分け表示できるため、どのほ場が良かったかが一目でわかる。主観的な印象ではなく、定量的な数値と地図情報で判断できるようになり、次年度の栽培計画に活用することができる。
3.栽培改善と継承:過去のデータを簡単に振り返ることができ、年ごとの比較や改善点の洗い出しがしやすくなった。若手スタッフや新規就農者にも、データを通じて技術を伝えやすくなった。

ライスセンター遠隔監視の画面の例
収量・品質のデータを地図上に色分け表示する画面の例
市販化

令和7年4月1日に株式会社サタケからKOMECT(生産者向け)として販売開始されました。
乾燥機5台以下:95,000円
6~10台:145,000円
11~20台:195,000円
取付費用:50,000円~

詳細情報