3種類の市販サルモネラ不活化ワクチンの野外応用成績


[要約]
市販されている3種類のサルモネラ(SE)不活化ワクチンを採卵鶏に応用したところ、ワクチン接種による副反応と盲腸におけるSE定着軽減効果は相反する傾向がみられる。

[キーワード]副反応、SE、定着軽減効果、ワクチン、採卵鶏

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[連絡先]電話043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 鶏卵のサルモネラ(SE)汚染は公衆衛生上大きな問題として取り上げられ、ここ数年、数社からSE不活化ワクチンが市販されている。市販されているワクチンは、アジュバントが油性(OEV)とアルミニュウムゲル(KV)の2種があり、接種回数、接種部位なども異なる。これらから、市販されている3種類のワクチンを用い、接種後の副反応、腸管における定着軽減効果などについて調査を実施し、農場におけるSE不活化ワクチン選択時の参考に寄与することを目的とする。

[成果の内容・特徴]
 OEVのA、BとKVのCを用いた。Aを肩部皮下に2回接種(A群)、Bを肩部皮下に1回接種(B群)、Cを脚部筋肉内に2回接種(C群)とし、無接種の対照群の4群を設けた。
1. 接種後の体重はA群、B群が明らか(p<0.05)に対照群より劣り、その傾向はA群の方が強いが、C群では対照群と差がみられない(図1)。飼料摂取量の低下はA群で最も顕著にみられる。
初期産卵の低下もA群で最も顕著にみられる(図2)が、以降の産卵性に群による差はみられない。
2. SE攻撃試験は2回実施した。1回目の試験では、A群の盲腸内容物、肝臓からの分離菌数がC群、対照群と比べて明らかに低い値を示し(p<0.05)、ついでB群が少ない値を示したものの差はみられない(表1)。2回目の試験ではA群の盲腸内容物、肝臓、脾臓、B群の盲腸内容物、脾臓からの分離菌数が対照群より明らかに低い値を示す(p<0.05)が、C群は対照群と差はみられない(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 今回調査に用いた3種類のSE不活化ワクチンは一長一短があるため、ワクチンの使用にあたっては、個々の農場に適したものを選択するのが望ましい。
2. SEワクチンを接種しても完全なSE防御は困難なため、日常の衛生管理は重要である。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:効果的サルモネラ防除法の検討
予算区分:県単
研究期間:2001 〜2006 年度
研究担当者:村野多可子
発表論文等:村野(2003)鶏病研究会報39(4):181-189.

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