品種内系統間交雑を用いた系統豚「タテヤマヨーク」の繁殖能力の改善


[要約]
「タテヤマヨーク」と他県から導入した系統豚との品種内系統間交雑豚は繁殖性、発育性及び産肉性が良好である。

[キーワード]品種内系統間交雑、ブタ、系統豚、繁殖性、発育、産肉性

[担当]富山畜試・養豚課
[連絡先]電話076-469-5921
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 系統造成豚は閉鎖群で飼養するため、長期にわたる維持では近交退化が問題になる。大ヨークシャー種「タテヤマヨーク」も認定後10年が経過していることから近交退化による繁殖能力の低下が懸念されている。そこで他県(岐阜県、静岡県および全農)の大ヨークシャー種系統豚を交配し繁殖能力を補完した品種内系統間交雑豚(WW豚)の利用が可能かを検討する。

[成果の内容・特徴]
1. WW豚の繁殖能力は、いずれの系統と組合わせた場合でも「タテヤマヨーク」の繁殖能力を越えるものとなったが、特にB系統WW豚は分娩頭数及び離乳頭数がそれぞれ12.1頭、10.1頭と他系統と比較して最も多い(表1)。
2. WWL豚の生時体重は3系統豚とも同程度で、その後の発育も良好であるが、4週齢及び8週齢体重はA系統WWL豚が最も大きい(表2)。
3. WWL豚の発育は、30kg到達日齢でA系統WWL豚が最も速く、初期発育の影響が大きい。110kg到達日齢はC系統WWL豚が最も速いことから、肥育後半の発育が良好である。背脂肪厚及びロース断面積は系統による差は認められない(表3)。
4. 「タテヤマヨーク」の繁殖面での能力補完が可能な組み合わせとしては、B系統が有望である。

[成果の活用面・留意点]
1. 品種内系統間交雑は既存系統豚の新たな活用手法である。
2. WW豚は、平成18年度から「タテヤマヨーク」の能力を補完する種豚として農家供給を開始する。
3. 他県の系統豚と「タテヤマヨーク」を用いた交雑豚の能力比較であり、他県から導入した系統豚の優劣を示すものではない。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:系統間交雑による高能力大ヨークシャー種豚生産技術の確立
予算区分:県単
研究期間:2001〜2005年度
研究担当者:小嶋裕子、水上暁美、新山栄一、坪川 正、廣瀬富雄

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