ニラの葉中硝酸イオン濃度低減化技術


[要約]
基肥は、土壌の残存窒素量に応じて減肥し、冬どり前は追肥せず、翌年の夏どり前に肥効調節型肥料(70日タイプ)で施肥すると、目標収量(3t/10a)を確保でき、ニラの葉中硝酸イオン濃度は慣行栽培に比べて半減する。

[キーワード]ニラ、硝酸イオン、追肥、肥効調節型肥料

[担当]栃木農試・環境技術部・土壌作物栄養研究室、園芸技術部・野菜研究室
[連絡先]電話028-665-7072
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・土壌肥料、野菜
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
 近年、食の安全・安心志向の高まりから、葉菜類等の硝酸イオンについて関心が高まっている。そこで、本県の特産野菜であるニラについて、基肥や追肥の肥培管理改善による葉中硝酸イオン濃度の低減化技術を検討する。

[成果の内容・特徴]
1. 栽培前の土壌の残存窒素量を考慮して基肥を減肥すると、葉中の硝酸イオン濃度は慣行に比べて若干低下し、しかも収量の低下はわずかである(表1)。基肥の減肥量は「(硝酸態窒素量−5)+(可給態窒素量)」とする。
2. 冬どりでは、株養成期の追肥を省略しても目標収量(3t/10a)以上が確保でき、葉中の硝酸イオン濃度を大幅に低減できる(図1)。夏どり前も追肥をしないと、収量が低下する。そのため、夏どり前は追肥施肥とすると、目標収量が確保でき、葉中硝酸イオン濃度も低く抑えられる(表2)。
3. 夏どりの追肥を肥効調節型肥料(70日タイプ)で施用すると、速効性肥料を分施する慣行栽培に比べて、施肥作業の省力化となり、葉中硝酸イオン濃度も低下できる(表3)。
4. 上記の栽培方法による、品質(葉幅等)への影響はない(データ省略)。

[成果の活用面・留意点]
1. 株養成期の雨よけは、葉中の硝酸イオン濃度を大幅に増加させるので、雨よけをしない。
2. 土壌の残存窒素量を考慮して基肥減肥量を計算する場合、残存する硝酸態窒素量が5kg/10a以下の時は硝酸態窒素からの減肥はしない。また、基肥窒素施肥量が計算上負になった時は、基肥の窒素を施肥しない。
 なお、土壌の硝酸態窒素からの減肥量(硝酸態窒素量−5)は、栃木県の施肥基準に準じた。
3. 基肥はニラ専用肥料(肥効調節型肥料180日タイプ60%含有)とする。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:野菜における硝酸塩蓄積機構の解明と低減化技術の開発
予算区分:国庫(硝酸プロジェクト)
研究期間:2002〜2004年度
研究担当者:森聖二、大島一則、小玉弘恵、大島正稔、廣澤美幸

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