調理残さの一次処理物は採卵鶏へ50%給与しても産卵成績に影響を与えない


[要約]
採卵鶏を対象に食品残さの一次処理物を長期的に給与した。一次処理物を50%混合給与すると、卵質の低下は観察されたが産卵率等の産卵成績には差が無かった。

[キーワード]ニワトリ、飼料コスト、一次処理物、50%混合給与

[担当]東京農総研・商品開発科
[代表連絡先]電話0428-31-2171
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 都市から排出される食品残さは、未利用の資源としてその活用が懸案となっている。また、食品リサイクル法の施行を背景にして、全国食品残さ飼料化行動会議が設置されるなど、食品残さの再利用率向上への取り組みがなされている。そこで、食品残さ一次処理物の飼料化を図るため長期的な給与が産卵へ及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 都内の老人ホームから排出される食品残さ(調理残さ、未配膳分および残飯)を用いた。一次処理物は、残さ投入後24時間で水分含量が15%程度になるようヒーター部の温度を80〜85℃に設定した処理機内へ投入し攪拌、乾燥して作成したものである。
2. 一次処理物中の成分では、Naが0.31%、粗蛋白質が15.14%、カルシウムが2.82%、リンが0.29%含まれており、コントロールと比べてリン含量が低く、Na含量が高い(表1)。
3. 産卵状態の良い赤玉鶏60羽について、37週間の飼養試験を実施する。対照区、25%区(混合割合は全て重量パーセント)および50%区の体重変化に差はなく、飼料の摂取や外貌上の健康状態に観察では大きな変化はない。
4. 産卵成績では、対照区と50%区の間に差がない(表2)。
卵殻質は、一次処理物の混合量の増加に伴って低下する。すなわち、卵殻強度、卵殻厚、卵殻色のa*値(赤色度)は、高い順に、対照区、25%区、50%区であり、L*値(明度)はその逆である(表3)。
5. 卵殻中のカルシウムは、一次処理物の混合量増加に伴って低下するが、卵殻中のリンにほとんど影響がない(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料中のリンを補完することで50%の飼料利用による再利用の推進への寄与が期待できる。
2. 全国の食堂等からの調理残さの飼料化に利用できる。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:未・低利用資源の飼料化
予算区分:都単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:小嶋禎夫

目次へ戻る