検定植物による赤カブ栽培土壌の根こぶ病の発病予測


[要約]
ナバナ、ミズナ等を検定植物とし、赤カブ栽培予定圃場の土壌を通気性のある素材のポットに入れて底面給水で管理すれば、土壌中の休眠胞子密度が103個/g乾土以上の低密度から発病し、根こぶ病の発病が予測できる。

[キーワード]赤カブ、根こぶ病、発病予測、検定植物

[担当]富山農技セ・野菜花き試験場・野菜課
[連絡先]電話0763-32-2259
[区分]関東東海北陸農業・野菜
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
 富山県の中山間地域では特産の漬け物用として赤カブが栽培されているが、長年の連作のために根こぶ病が多発生し、栽培上の重大な問題となっている。特に、根こぶ病はその菌密度が低い場合でも環境条件により多発することがあるため、低密度での根こぶ病菌汚染状況の検定手法が求められている。そこで、低い菌密度から罹病する判別しやすい検定植物の選定及び安定した結果が得られる検定法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 根こぶ病に感受性が高いナバナ品種「早陽1号」、ミズナ品種「京みぞれ」、ノザワナ「野沢菜」、カブ品種「早生大蕪」を検定植物として用いれば、休眠胞子密度103個/g乾土以上で発病する(表1)。
2. ナバナ、ミズナは健全株の場合、根部はほとんど肥大しないが、罹病株では著しく肥大するため、根こぶ形成程度の判断が容易である。
3. 富山県では病原性の異なる根こぶ病菌菌株が存在するが、上記の検定植物はいずれの菌株にも感受性であり、菌株の違いによる検定結果への影響は少ない(表2)。
4. 検定植物の栽培は、直径約6cmの通気性があり底面給水できる素材のポット(ジフィーポット等)に圃場の作土を8分目まで詰め、その上にバーミキュライトを2〜3mmの厚さになるよう入れ、種子を5粒播種してバーミキュライトで覆土し、その後は底面給水で管理する(図1)。
5. 検定植物に根こぶ形成が認められた場合、圃場における赤カブ栽培でも根こぶ病が発病する可能性が高い(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 赤カブ栽培前の根こぶ病土壌診断に活用できる。
2. 検定する土壌は、石灰等によるpH調整を行う前に、圃場全体の状況を反映するよう、1圃場あたり5箇所(深さ10〜15cm)程度から採取する。
3. 水中を根こぶ病菌の遊走子が移動する可能性があるため、異なる圃場の土壌を同一容器へ入れない。
4. この成果は、検定植物を人工気象室で25℃、連続照明下(5000ルクス程度)で管理した結果であり、発病調査は播種後40日以降に行うと再現性が高い。検定植物の生育が良好だと根こぶの肥大も判断しやすいことから、葉色を見ながら液肥を施用する。


[具体的データ]


[その他]
研究課題名:富山県特産赤カブの根こぶ病防除栽培技術の開発
予算区分:ブラニチ6系
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:梅林智美、北田幹夫、金森松夫

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