大豆のコンバイン収穫損失低減技術 |
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[要約] |
刈刃の刃先角度が小さく受刃ピッチが狭い狭ピッチ切断部によって頭部損失を半減できる。また、こぎ胴回転軸と平行に配置されたコンケーブロッドの間隙が34mmの幅広コンケーブによって汚粒および脱穀・選別損失が低減できる。 |
[キーワード]コンバイン、大豆、切断部、コンケーブ、収穫損失、汚粒 |
[担当]中央農研・バイオマス資源循環研究チーム(兼:関東東海水田輪作研究チーム)
[代表連絡先]電話:029-838-8813
[区分]共通基盤・作業技術、関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・普及 |
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[背景・ねらい] |
コンバインによる大豆収穫作業では、収穫損失と汚粒が問題となっている。収穫損失の内訳は9割近くを頭部損失が占めており、その内刈残し損失の割合は低く、裂莢損失および落莢損失の割合が高いことが知られている。また、排塵弁の開度調節では汚粒は低減するが、脱穀・選別損失が増加する問題がある。そこで、切断部改良による頭部損失低減技術、コンケーブ改良による脱穀・選別損失の増加を抑制する汚粒低減技術を開発する。
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[成果の内容・特徴] |
1. |
狭ピッチ切断部は、標準よりも小さい刃先角度20°の刈刃と標準より狭い50.8mmピッチの受刃で構成されている(図1)。狭ピッチ切断部は1つの部品として取り扱うことができ、機体を改造することなくナイフヘッド、フィンガーバーのボルトの着脱のみによって標準切断部と交換できる。
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2. |
狭ピッチ切断部の頭部損失は標準切断部の50%程度となる(図2)。狭ピッチ切断部は切断による茎の前方への飛び出しを抑えるため、リールが作用し難い大豆主茎長が低い範囲で頭部損失の低減効果が高い。 |
3. |
幅広コンケーブはこぎ胴回転軸と平行なコンケーブロッド(直径6mm、40mmピッチ)とそれらを固定する支柱等で構成されており、コンケーブロッドの間隙が34mmと広く子実の漏下性が高い。また、脱穀部入口の支柱間隔を50mmとすることで排塵が過剰に漏下することによる選別部のつまりを防止する。 |
4. |
幅広コンケーブの脱穀・選別損失は莢水分の上昇によって増加することなく1%以下で、標準(丸目抜きφ25mm)よりも低い(図3)。汚れ指数は茎水分が高くなるに従って高くなるが、幅広コンケーブの方が低い(図4)。汚れ指数0.4以下となる茎水分は、幅広では40%以下、標準では30%以下であり、幅広の方が汚粒の発生が低く収穫適期が長い。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
中央農研では、平成19年度から狭ピッチ切断部および幅広コンケーブを装着したコンバインを用いて、現地における実演指導を行う。 |
2. |
狭ピッチ切断部は大豆収穫時に標準切断部と交換して使用する。 |
3. |
幅広コンケーブはこぎ歯式脱穀部を有するコンバインに利用できる。 |
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[具体的データ]
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[その他] |
研究課題名:関東・東海地域における高生産性水田輪作システムの確立 課題ID:211-k 予算区分:交付金、委託プロ(ブラニチ)、基盤 研究期間:2002〜2006年度 研究担当者:梅田直円、金谷豊、長坂善禎、国立卓生、渡邊好昭 |
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