大豆「エンレイ」子実水分の簡易測定法


[要約]
エンレイの子実水分は電気抵抗式の水分計を用いて測定できる。子実をサンプリングし、単粒の水分を測定して平均した後、換算表を用いて平均子実水分を推定する。水分計は携帯式なのでほ場でも測定でき、コンバイン収穫適期の判定に活用できる。

[キーワード]エンレイ、子実水分、水分計、コンバイン収穫適期

[担当]新潟農総研・基盤研究部・生産工学グループ
[代表連絡先]電話:0258-35-0826
[区分]関東東海北陸農業・作業技術
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  新潟県において大豆は近年生産面積を拡大しているが品質に問題が見られている。しわ粒はほ場で乾燥と吸湿を交互に繰り返すことで増加するため、収穫適期がきたら速やかに刈るのが望ましい。子実水分は損傷粒や収穫ロスにも影響するため子実水分を確認し、汚粒の発生要因とされる茎水分も考慮した上で、収穫可否の判定が行えるようにする必要がある。観察による収穫可否判定から水分計を利用した子実水分の的確な把握に改善し、しわ粒発生のリスクを減らして大豆品質の低下を防ぐ。

[成果の内容・特徴]
1. 水分計は農産加工品等用の(株)オガ電子製MDX-1000(センサー長3mm、径2mm先針、針間隔5mm)を用いる。センサー先端を大豆子実に刺して一粒ずつ測定する装置である。単粒での子実水分と水分計標準レンジでの出力との関係は図1のようになり、出力値19.0付近で検量線が変化している。
2. 中庸な生育をしている株を抜き取り、中位の莢を無作為に抽出して莢を剥き、大豆子実を得る。センサー先端を大豆子実に刺して一粒ずつ測定して20〜50粒の平均を求める。水分計の設定は標準レンジとする。刺し方は図2のとおりである。
3. 単粒子実水分のばらつきを考慮して平均水分を求める検量線は図3のようになっており、水分計出力の平均値からの変換は表を用いる。
4. ほ場や水分の異なる大豆を用いて20粒の平均子実水分を推定した結果、ほ場で行うことのできる簡易水分測定には十分な精度が得られた。(図4)

[成果の活用面・留意点]
1. 水分の高い子実が含まれている場合は水分の変動が大きいので50粒測定する。
2. センサー先端は針状なので大豆に刺す時は注意して行う。測定の後はセンサー先端の汚れを取る。
3. 他の品種については同じ方法を用いることができるが検量線を検証する必要がある。
4. コンバイン収穫の可否は茎水分も含めて現行に準ずる。


[具体的データ]

図1 水分計出力と単粒水分との関係(2005年試料)
図2 水分計と測定方法
図3 水分計出力と平均水分との関係(2004年試料から算出)
図4 条件の異なる大豆水分の推定(2005年サンプリング、各20粒)

[その他]
研究課題名:北陸地域に多発する大豆しわ粒の発生防止技術の開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:樋口泰浩、権平正

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