子豚への亜鉛低減飼料給与によるふん中亜鉛排せつ量低減


[要約]
哺乳期子豚用飼料の亜鉛添加量を低減しても、生産性を低下させずにふん中亜鉛排出量を低減できる。またフィターゼおよび木炭(乳酸菌を混合)の飼料添加により、生産性および亜鉛の利用性は向上する。

[キーワード]豚、哺乳期子豚用飼料、木炭、乳酸菌、亜鉛

[担当]群馬畜試・中小家畜研究グループ
[代表連絡先]電話:027-288-2222
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  哺乳期子豚用飼料中の養分要求量を上回る銅や亜鉛が豚ふん堆肥に濃縮されることから、環境保全等の問題が指摘されている。銅については過去に飼料中の添加量を低減した試験を実施し、生産性を低下させずに排出量を低減できることを確認した。
  そこで、銅と同じく亜鉛の添加量低減が、ふん中亜鉛排出量および生産性におよぼす影響について、またフィターゼおよび木炭(2mmメッシュ粉炭1kgにEnterococcus faecium、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus acidophilusの3種を2.4×108cfu/ml含む液状の乳酸菌670mlを混合し、フリーズドライ処理したもの)の銅・亜鉛無添加飼料への添加効果について検討した。

[成果の内容・特徴]
1. 亜鉛添加量の違いによる1日平均増体重への影響は見られず、生産性を低下させることなく哺乳期子豚用飼料の亜鉛添加量低減が可能である(表1)。
2. 飼料への亜鉛添加量の減少に伴い、ふん中亜鉛濃度は低下したことから、亜鉛排出量の低減が可能である(図1)。
3. フィターゼの飼料添加により、生産性は向上し、ふん中亜鉛濃度は低下したことから、フィターゼによる発育促進効果および亜鉛の利用性向上効果が確認できた。
4. 木炭の飼料添加により、ふん中亜鉛濃度は低下したが、生産性に影響は見られなかった。

[成果の活用面・留意点]
1. ふん中銅・亜鉛濃度の低い豚ふんから製造された堆肥の施用により、環境負荷が軽減できることから、堆肥を販売・流通する上での利点となる。
2. ふん色が黒色から茶色に変化し下痢を連想させるため、養豚農家の理解が必要である。
3. 飼料中の亜鉛が要求量以下の場合、飼養環境や衛生状態により生産性が低下する可能性がある。


[具体的データ]

表1 1日平均増体重
図1 ふん中亜鉛濃度の推移

[その他]
研究課題名:重金属低減に向けた飼養管理研究
予算区分:県単
研究期間:2005〜2006年度
研究担当者:櫛渕隆之

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