ランドレース種の初産豚における体重減少率が発情再帰日数に及ぼす影響


[要約]
分娩後の体重減少率が大きいほど発情再帰日数も延びる傾向にある。離乳後7日以内に発情が再帰するには、体重減少率を13%未満に抑えることが必要である。なお、哺乳開始頭数が10 頭以上、もしくは生後2週齢の子豚一腹総体重が40kg以上の場合は、体重減少率が13%以上になる確率が高い。

[キーワード]初産豚、発情再帰日数、体重減少率、子豚一腹総体重

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話:043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  離乳後の発情再帰を順調に来させることは、生産性を向上させるための重要な技術である。通常、離乳後4から5日で発情徴候が現れ、7日以内に交配が完了する。しかし、哺乳期間中の栄養状態、環境要因等により、発情徴候がなかなか現れない場合がある。特に若い産次の豚は泌乳に要するエネルギーだけでなく母豚自体の成長に必要なエネルギーもあり、栄養不足に陥り発情が遅延するとの報告もある。
  近年完成した系統豚は、産子数の改良を重点に行い、産子の発育も優れている特徴をもっている。このように初産における産子数の多い母豚について、発情を順調に再帰させるためには、どの様な点に注意することが重要なのか、産子数、哺乳中の子豚一腹総体重及び母豚の体重の変化から検討する。

[成果の内容・特徴]
  供試豚118頭の繁殖成績は、産子数11.0頭、哺乳開始頭数9.8頭、離乳頭数9.1頭、育成率93.5%、離乳時一腹総体重(4週)73.9kg、発情再帰日数10.4日である。
1. 母豚の体重減少率((分娩1週間前体重−離乳時の体重)/分娩1週間前体重×100)が増加すると発情再帰日数も延びる傾向にあり(図1)、両者の間には正の相関(r=0.2022、p<0.05)が認められる。
2. 母豚の体重減少率と離乳時一腹総体重との間には正の相関(r=0.63095、p<0.01)が認められる(図2)。
3. 一腹総体重は、発情再帰日数が7日以内の群より8日以上の群が生後1週齢以降いずれの週でも優れた発育である。また、その時の哺乳開始頭数及び離乳頭数は、発情再帰日数が7日以内の群より8日以上の群のほうが多い(図3図4)。
  以上の結果から、母豚の体重減少率を13%以下にすることにより、発情再帰日数が7日以内に来る可能性が高い。また、哺乳開始頭数が10頭以上、もしくは生後2週齢の子豚の一腹総体重が40kg以上の場合は、4週齢の子豚の一腹総体重が75kg以上になり、母豚の体重減少率が13%以上となる確率が高いため、体重減少率を極力抑える飼養管理が必要である。

[成果の活用面・留意点]
1. 飼料は市販の種豚用配合飼料(TDN72%以上、DCP12%以上)を使用し、分娩後は朝、昼、夕の3回、哺乳子豚頭数に合わせて適宜(最大約5.5kg/頭/日)給与した時の成績である。


[具体的データ]

図1 発情再帰日数別の体重減少率 図2 体重減少率と離乳時一腹総体重の散布図
図3 発情再帰日数別の生時から離乳時までの1腹総体重 図4 発情再帰日数別の哺乳開始頭数と離乳時頭数

[その他]
研究課題名:種豚の維持組合せ検定試験
予算区分:県単
研究期間:2000〜2005年度
研究担当者:高橋圭二、園原邦治、鈴木邦夫
発表論文等:高橋(2006)千葉県畜総研 研究報告 6:11-13

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