有機酸製剤や繊維分解酵素製剤が採卵鶏の生産性と排せつ物に及ぼす影響


[要約]
繊維分解酵素を含む有機酸製剤や数種の繊維分解酵素を含む製剤を添加した飼料を採卵鶏に給与すると、排せつ物量が減少する傾向にある。さらに繊維分解酵素を含む有機酸製剤を添加した飼料給与により産卵前期より卵重が重くなり、L卵出現率が高くなる。

[キーワード]採卵鶏、繊維分解酵素、有機酸製剤、卵重、排せつ物

[担当]千葉畜総研・生産技術部・養豚養鶏研究室
[代表連絡先]電話043-445-4511
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  家畜家禽の排せつ物は有機質肥料として利用される一方、排せつ物中の窒素、リンなどの成分が土壌へ還元され環境を汚染することが懸念される。そのため各種の酵素製剤を用いた排せつ物量の低減化試験が実施され、低減効果が認められる報告もあるが、生産性の改善にはつながっていない。
  そこで、生産性の向上と排せつ物量を減少させるといわれている繊維分解酵素を含む有機酸製剤や数種類の繊維分解酵素を含む製剤を添加した飼料を採卵鶏に給与し、生産性および排せつ物におよぼす影響について検討する。

[成果の内容・特徴]
  18週齢の採卵鶏ジュリア156羽を用い1群13羽の3反復を1つの区とした計4区を設ける。繊維分解酵素を含む有機酸製剤A剤(ニューバイオパックDE)、Aを改良した試作品のB剤、数種の繊維分解酵素を含む製剤C剤(ホワイトミックス)を市販の配合飼料に0.1%添加し、18〜61週齢の間給与する。対照として無添加区も設ける。4週間を1期間として各期間の産卵成績を集計する。また排せつ物の測定は各期間の最終週に1日間実施する。
1. 産卵成績ではA剤区の平均卵重が産卵前期の第1〜第4期間において対照区より明らかに高い値を示す(p<0.05)。さらに第5期以降ではL卵の占める割合が対照区に比べて高い値を示し全期間で約6%の差が見られる(表1)。しかし、他の項目には差は見られない。
2. 排せつ物量には有意な差は見られないが、製剤の添加区では対照区より少ない傾向である(表4)。排せつ物中の水分は全期間ではC剤区が対照区よりも有意に低い値を示す(p<0.05)。しかし乾物中のリン含量はA剤区、C剤区では対照区よりも有意に高い値を示す(p<0.05)。

[成果の活用面・留意点]
1. A剤給与によりL卵の占める割合が増加し、収益性が高まる。
2. C剤給与により排せつ物中水分の低減が図られる。
3. A、C剤の添加によって排せつ物中リンが増加するため、添加レベルの再検討が必要である。


[具体的データ]

表1 生存率および産卵諸性能(18〜61週齢)
表2 平均卵重(g)の推移
表3 L卵出現率(%)の推移
表4 排せつ物量および成分(18〜61週齢)

[その他]
研究課題名:有機酸製剤が採卵鶏の排せつ物に及ぼす影響
予算区分:県単
研究期間:2006年度
研究担当者:青木大輔

目次へ戻る