名古屋種種鶏の平飼いにおける就巣性発現の特徴


[要約]
平飼い飼育の名古屋種種鶏では、産卵ピーク時日齢の1ヶ月後に就巣性の発現がピークを迎え、さらに秋餌付けの方が春餌付けより就巣性発現のピークが高いことから、産卵ピーク時日齢及び餌付け時期は名古屋種の就巣性発現に影響する。

[キーワード]名古屋種、種鶏、平飼い飼育、就巣性、産卵ピーク、餌付け時期、気温

[担当]愛知農総試・畜産研究部・家きんグループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(中小家畜)
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  名古屋種は就巣性が完全に除去されていないため、一旦巣に就いて産んだ卵を温め始めると、長期間に産卵が休止し、鶏卵生産の妨げとなっている。
   そこで、本研究では平飼い飼育されている名古屋種種鶏の秋餌付け及び春餌付けの雌鶏群について就巣性発現の実態を調査し、餌付け時期や鶏舎内の気温、日齢との関連について明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 秋餌付けの鶏群では、産卵のピークの28週齢から就巣性の発現がみられ、その1ヶ月後の33週齢に就巣性発現率が最も高くなり、38週齢以降は2〜4%の範囲で推移する(図1)。
2. 春餌付けの鶏群では、産卵のピーク直前の28週齢から就巣性の発現がみられ、産卵率ピーク(29週齢)の1ヶ月後の35週齢に就巣性発現率が最も高くなり、41週齢以降は2〜4%の範囲で推移する(図2)。
3. 餌付け時期により就巣性の発現に差があり、就巣性発現率のピークは秋餌付けの鶏群の方が春餌付けの鶏群に比べて有意に高い(P<0.01)(図1)。
4. 鶏舎内の気温の変動による就巣性発現率への顕著な影響はみられない(図1)。
5. 鶏舎内の最低気温が23℃、最高気温が30℃を越えると、暑熱ストレスによる産卵率の低下が顕著にみられる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 名古屋種を平飼い飼育するふ化場や養鶏場において、飼育管理方法の参考となる。
2. 平飼い飼育下の名古屋種の産卵性を改善するには暑熱対策も重要である。


[具体的データ]

図1 産卵率と就巣性発現率の推移(秋餌付け) 図2 産卵率と就巣性発現率の推移(春餌付け)
図3 産卵率と鶏舎内気温の推移(秋餌付け) 図4 産卵率と鶏舎内気温の推移(春餌付け)

[その他]
研究課題名:DNA育種技術による名古屋コーチンの就巣性除去技術の開発
予算区分:高度化事業
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者: 中村明弘、恒川豊芳、木野勝敏、野田賢治、内田清政((株)スリーエム)、阿部亀美夫((株)スリーエム)、今泉耕司((株)スリーエム)


目次へ戻る