普通型コンバインとロールベーラによる飼料イネの収穫・調製技術


[要約]
普通型コンバインとロールベーラを組み合わせた飼料イネの収穫・調製の作業性能は、ディスクモア、ジャイロレーキを組み合わせた飼料イネ予乾体系(以下、予乾体系)とほぼ同等で、飼料イネの収穫・調製作業に活用すれば収穫コストの低減が期待できる。

[キーワード]飼料イネ、収穫・調製、普通型コンバイン、コントラクタ

[担当]埼玉農総研・畜産研・飼料生産担当
[代表連絡先]電話:048-536-0311
[区分]関東東海北陸農業・畜産草地(草地)、作業技術、関東東海・水田作畑作
[分類]技術及び行政・普及

[背景・ねらい]
  飼料イネを普及・拡大するには、収穫・調製作業の外部委託が不可欠である。そのため、作業を受託する主穀作農家で利用可能な、より低コストの収穫技術を開発する必要がある。
  そこで、関東北部の二毛作地域に小麦収穫用として普及している普通型コンバインと稲わら・麦稈収集用のロールベーラを利用した飼料イネ収穫・調製技術を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 普通型コンバインは、扱き胴を最大に広げることにより、脱穀量を最小に抑えた飼料イネ収穫が可能である。(写真1)。
2. 普通型コンバインから排出される飼料イネは集草列を形成するため、予乾体系の刈取り〜集草までが1工程で行え、作業機の脱着等ほ場外作業が省略される。また予乾作業がないため、ロールベーラによる梱包作業との同時並行も可能で、効率的である。
3. 普通型コンバインによる作業時間は予乾体系と同じ2.6時間/ha(表1)、収穫時の穀粒とわらの損失は地上部全重の10.3%と予乾体系並みである(表2)。また集草作業による土砂の混入がなく、高品質なサイレージ調製が期待できる。
4. 普通型コンバインで調製したサイレージの水分は予乾体系に比べて高く、また発酵品質はほぼ同等であった。(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 二毛作地域のコントラクタが既に保有している作業機を用いれば、収穫コストを低減できる。
2. ホイール駆動の普通型コンバインは接地圧が大きいので、中干しを徹底し地耐力を確保する。また、収穫時はロールベーラに適した集草列の大きさになるよう、刈取る幅を調整する。
3. 乾物収量の9.3%に相当する籾が普通型コンバインの機内に扱き残されるが、乾燥やサイレージ化などの調製を行い別途利用が可能である。
4. 残留した籾の小麦等への混入を防ぐため、使用後は機内の清掃を徹底する。


[具体的データ]

表1 普通型コンバインの作業能率(比較:予乾体系)
表2 普通型コンバインの作業精度(比較:予乾体系) 写真1 飼料イネの収穫作業
表3 発酵品質(比較:予乾体系)

[その他]
研究課題名:汎用型コンバイン等を利用した飼料イネの低コスト収穫・調製技術の開発
予算区分:地域総合、関東飼料イネ
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者: 飯島雄二、石井博和(米・麦担当)
畑原昌明(戦略プロジェクト第一研究担当)

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