モモ若木の凍害発生に及ぼす品種の影響とモモ胴枯病発病軽減対策


[要約]
モモ若木の凍害発生は、穂木品種と台木品種の組み合わせにより程度が異なり、特に、「川中島白鳳」と「おはつもも」の組み合わせで発生が増加する。また、モモ胴枯病は、初冬から春にかけて主幹部への白塗剤塗布とわら巻きで発生が軽減される。

[キーワード]モモ、凍害、若木、モモ胴枯病、せん定

[担当]長野果樹試・栽培部、病害虫土壌肥料部
[代表連絡先]電話:026-246-2411
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  近年、長野県下各地でモモ樹の凍害が発生しているが、品種や台木により発生程度に差があることが指摘されている。
  そこで、長野県の主要品種と台木の組み合わせで検証するとともに、凍害対策及びせん定時期と胴枯病の発生について検討し、総合防除対策の基礎資料とする。

[成果の内容・特徴]
1. 凍害発生は、品種と台木の組み合わせにより程度が異なり、品種では「川中島白桃」に比べ「川中島白鳳」で障害発生率も高く程度も大きくなる。
台木では「筑波4号」に比べ「おはつもも」で、障害発生率も高く程度も大きい。特に、「川中島白鳳」と「おはつもも」の組み合わせにより障害発生が助長される(表1)。
2. 凍害防止対策としては、主幹部に白塗剤を塗布しただけでは十分な防止効果は得られないが、あわせてわら巻きを行うと効果が高い(図1)。
3. 胴枯病の感染は、凍害による傷やせん定の切り口に由来することが多い(表2)。
4. 当年12月にせん定を行った場合、翌年4月に行った場合と比べ胴枯病の発生が増加する(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 凍害の発生は品種や台木の他、樹勢の低下や強せん定、排水不良等によって助長されるため、凍害防止対策を総合的に実施する。
2. 胴枯病菌はせん定の切り口や凍害による傷だけでなく、様々な傷から感染するため、日焼け防止や枝幹害虫対策等、総合的に樹体の保護に努める。またせん定の切り口には速やかにゆ合剤を塗布し傷口を保護する。
3. 凍害防止対策としてわら巻きを行った場合でも、せん定等で大きな傷口をできるだけ作らないよう管理する。


[具体的データ]

表1 モモ品種・台木の組み合わせと主幹部の凍害発生
図1 凍害対策の種類と凍害発生状況(2002〜2005年)
表2 凍害対策の種類と胴枯病の発生(2002〜2005年)
表3 せん定時期と胴枯病の発生(2002〜2005年)

[その他]
研究課題名:モモ若木の凍害防止技術の開発、主要病害虫の効率的防除技術
予算区分:県単
研究期間:2002〜2005年度
研究担当者:木原  宏、近藤賢一

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