亜熱帯性果樹アテモヤは夕方に人工受粉すると結実率が高い


[要約]
亜熱帯性果樹アテモヤの人工受粉は、当日開葯花粉で開花が始まる夕方に行うのが良く、他の時間帯に受粉するより開花期間を通して高い結実率が得られる。また、昼間の受粉は日による変動が大きく結実が安定しない。

[キーワード]アテモヤ、人工受粉、結実

[担当]三重科技セ・農業研究部・紀南果樹研究室
[代表連絡先]電話:05979-2-0008
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  亜熱帯性果樹アテモヤ(Annona atemoya)の花は雌性先熟であることから、十分な結実を得るためには絵筆等による人工受粉が必要である。しかし、人工受粉を行っても結実は必ずしも安定しない。また、アテモヤの開花は日暮れ頃に始まるため、夕方から夜間に人工受粉すれば結実がよいと言われているが、他の時間帯に受粉した場合との結実の差は明らかにされていない。そこで、より効率的な人工受粉を行うために、受粉の時間帯及び開花時期の違いが結実に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 三重県南部地域において、開花期間は5月下旬〜7月上旬の約2ヶ月に及ぶ。また、一日の開花及び開葯が始まるのは夕方であり、開葯は概ね16時〜19時の間に完了するが、開花は17時以降にピークを迎え夜間に及ぶ(データ省略)。
2. 人工受粉による結実率は、夕方受粉(18:00-21:00)で最も高く、次いで朝受粉(9:00-10:00)、昼受粉(13:00-14:00)の順に低くなり、開花後、時間が経過して受粉するほど低くなる(表1図1)。
3. 受粉の時間帯と結実率の開花時期による変動は、夕方受粉では全期間通して高い結実率を示し、朝受粉でも開花初期以外の時期では比較的結実率は高いが、夕方受粉には及ばなかった。昼受粉では開花期の中盤以降になると結実率が高まるが,日による変動が大きい(図1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 受粉に使用する花粉は、開葯直後の新鮮な発芽率の高いものを利用する。
2. 異常な高温と低湿度の気象条件下では、開花及び開葯が遅れたり、正常に開葯しなかったりするとともに、結実しにくい場合がある。


[具体的データ]

表1 人工受粉のタイミングと結実率
図1 人工受粉の時間帯及び時期と結実率( H17 )

[その他]
研究課題名:熊野古道特産品共同研究開発事業他
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:須崎徳高、市ノ木山浩道

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