カキ「早秋」の日持ち性の良い収穫時期


[要約]
カキ「早秋」の日持ち性は収穫時期との関係が高く、果色とは関係が低い。収穫時期が早いほど日持ち性が悪いが、10月以降は果色が進んでも日持ち性は良い。また、中間台木の有無による差は少ない。

[キーワード]カキ、早秋、収穫時期、日持ち性、軟化、果色

[担当]岐阜農技セ・野菜果樹部
[代表連絡先]電話:058-239-3133
[区分]関東東海北陸農業・果樹
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  カキ「早秋」は、9月下旬〜10月上旬に収穫できる完全甘ガキの早生品種として全国に導入され始めている。着色が良好で、本県では収穫基準は果頂部CC(カラーチャート)値5.5以上を目安にしている。しかし、9月下旬に収穫された果実では出荷後に軟果等のトラブルが発生している。そこで、「早秋」の日持ち性の良い収穫時期を明らかにするとともに、中間台木の有無が日持ち性に及ぼす影響を明らかにする。

[成果の内容・特徴]
1. 「早秋」は、「西村早生」と比較して、着色開始期がやや遅いが、9月下旬から急激に着色が進む(図1)。
2. 収穫時期の果色と日持ち日数には相関関係が認められず、果色が進んだ果実でも日持ち日数に15日前後の差がある(図2)。
3. 収穫時期が早いほど日持ち性は悪い傾向にあり、9月下旬に収穫した果実は5日以下で軟化する果実が認められる。一方、10月上旬に収穫した果実の日持ち日数は5日以上である(図2)。
4. 収穫10日前の積算平均気温が230℃以上あると日持ち日数が10日前後となり、軟化果実発生までの日数が2〜3日と短い。一方、積算平均気温が220℃以下になるといずれの日数も長くなる(表1)。
5. 9月下旬に収穫した果実は、果重が小さく、糖度も低い傾向にある(表1)。
6. 中間台木の有無による日持ち性の差は、10月上旬収穫で軟化率の進捗状況に差が認められるが、軟果発生までの日数には差が無く、その影響は小さい(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 収穫時の果色がCC値5.5であっても、早期に収穫した果実は、軟化発生までの日数が短い果実があることから市場出荷は注意が必要である。
2. 環状剥皮や枝幹害虫(クロフタモンマダラメイガ等)に食害された枝の着果果実は、日持ち性が悪く低糖度なため、市場出荷はさける。
3. 収穫後の軟化を抑制するために、収穫は外気温の低い時間帯に行うとともに、直射日光が当たらない涼しい場所で保管する。


[具体的データ]

図1 果実の着色と平均気温(2002〜2006年平均) 図2 収穫時期別の果色(CC値)と日持ち日数の関係(2006年)
表1 収穫時期前後の気温と収穫時の果実品質及び日持ち性(2006年)
図3 中間台木の有無と収穫時期、日持ち性の関係(2006年)

[その他]
研究課題名:カキ新品種の栽培方法に関する研究
予算区分:県単
研究期間:2006年度
研究担当者: 尾関健、新川猛、出町誠(農業技術課)、水野成雅(岐阜農改)、鈴木哲也(岐阜農改)、小畑紀雄(岐阜農改)、西垣孝(西濃揖斐農改)

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