秋系スプレーギク新品種「プリティララ」の育成


[要約]
秋系スプレーギクの新品種「プリティララ」を育成した。「プリティララ」は淡いピンク色で中輪の早生品種で、花数が多く、花房が円錐形で整う。親株の生産性が高い。他の花と合わせやすい花色であるため花束やアレンジメントに適する。

[キーワード]スプレーギク、新品種、プリティララ、ピンク、生産性

[担当]愛知農総試・園芸研究部・花きグループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085(541)
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  本県は全国有数のスプレーギク産地であるが、近年は販売価格の低迷が続き、生産者及び市場からは商品性の高い品種の育成が求められている。現在のスプレーギクには、他の花と合わせやすいことから需要の多い、淡いピンク色の優良品種が少ない。そこで、淡いピンク色のスプレーギク新品種を育成する。

[成果の内容・特徴]
1. 育成経過
    2001年に早生性、多花性のピンク色品種「リバティー」を種子親、花型、草姿に優れた県育成白色系統99-S-91-29を花粉親とした交配を行った。得られた490実生について開花調査と選抜を繰り返し、現地試作で3系統を選抜した。この3系統について営利生産規模の試作及び市場性評価を行った結果、1系統を実用品種として有望と判断し、2005年6月をもって育成を完了した(図1)。2005年10月に品種登録出願を行い、2006年7月に品種名「プリティララ」として出願公表された。
2. 品種の特性
 
(1) 到花日数は対照の「リバティー」とほぼ同じである。花弁色は「リバティー」よりも淡いピンク色である。「リバティー」よりも着花節数が多く、節数もやや多い。スプレーフォーメーションはA−Bタイプであり、花房は円錐形で整う(表1図2)。
(2) 親株から採取できる穂数は、「リバティー」と同等かやや多い(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 他の花と合わせやすい花色であるため、花束やアレンジメントに適する。
2. 高温期に開花遅延及び花弁の退色が起こるため、10月から6月の開花作型が適する。
3. 低温期にスプレーフォーメーションが乱れることがあるため、定植後から最低夜温16℃以上で管理する。
4. 出願公表されており、栽培には愛知県との許諾契約が必要である。


[具体的データ]

図1 「プリティララ」の育成過程
表1 「プリティララ」の特性
表2 「プリティララ」親株の生産性 図2 「プリティララ」

[その他]
研究課題名:スプレーギクの新品種育成
予算区分:県単
研究期間:2001〜2006年度
研究担当者: 長谷川徹、堀田真紀子、加藤俊博、酒井広蔵、大石一史、森岡公一、奥村義秀、石川高史、西尾讓一
発表論文等:品種登録出願2005年10月12日、出願公表2006年7月13日(出願番号18096号)

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