バラの改良レベリング仕立てによる高品質・多収生産技術


[要約]
バラ切り花のレベリング仕立てでは採花母枝を水平にするが、株基部より先端を高くするよう勾配をつけることにより収穫本数は多くなる。この時、株基部から離れた採花母枝上より発生する切り花の割合が増え、60〜80cmの品質の揃った切り花が増加する。

[キーワード]バラ、高品質、多収生産、改良レベリング、仕立て法

[担当]愛知農総試・園芸研究部・花きグループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085(内線541)
[区分]関東東海北陸農業・花き
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  採花母枝を水平にするレベリング仕立てでは、緑枝を折り曲げ基部から採花するアーチング仕立てと比べて収量が増加するものの、株基部から離れた位置から発生する切り花ほど短く細くなる傾向がみられる。
  そこで、切り花の収量・品質をより向上させることを目的に、採花母枝の形成方法の観点からレベリング仕立て法をさらに改良する。

[成果の内容・特徴]
1. 切り花本数は、採花母枝が20cmで多くなり、採花母枝が同じ場合は、採花母枝を水平にする(レベリング仕立て、以下「水平区」)よりも、株基部より採花母枝の先端を高くするよう勾配をつけた(改良レベリング仕立て、以下「勾配区」・約15度、30度)方が多くなる(図1)。勾配区で、アーチング仕立てより増収した切り花は、60〜80cm長のものが多い(図2)。
2. 勾配区で水平区より、株基部から離れた採花母枝上より発生する切り花の割合が増える(図3)。
3. 切り花長、切り花重、茎径は採花母枝が短いほど大きくなるものの、勾配区において採花された切り花の多くは、60〜80cm長の規格であり、ボリュームにおいても市場流通に適した高品質なものである(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 適宜採花母枝を更新することにより同化専用枝の更新を図るか、通路側の弱小枝を折り曲げる等により同化専用枝を確保する必要がある。
2. この技術は、スタンダード品種に適応する。


[具体的データ]

図1 勾配区の仕立て法(品種「ローテローゼ」) 図2 採花母枝の勾配、長さと切り花長別収量
表1 切り花品質(2005年9月16日〜12月16日)
図3 発生位置別収量割合

[その他]
研究課題名:バラ養液栽培における省力・高品質・多収生産技術の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2005年度
研究担当者:松本智恵子、山口徳之、加藤俊博

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