製茶工場における粗揉機洗浄排水の汚濁低減化法の開発


[要約]
製茶工場における粗揉機洗浄排水の化学的酸素要求量(COD)、浮遊物質量(SS)の値は高いが、茶渋の除去、茶渋懸濁液の沈澱処理により低減化が可能である。

[キーワード]チャ、製茶工場、粗揉機、排水、COD、SS、茶渋

[担当]静岡茶試・製茶新製品研究
[代表連絡先]電話:0548-27-2311
[区分]関東東海北陸農業・茶業
[分類]技術・参考

[背景・ねらい]
  製茶作業の際、粗揉機内部には茶渋が付着し、茶期ごとに水洗浄が行われているが、この洗浄排水は製茶工場排水の大部分を占めている。製茶工場は特定事業所に当たらないため水質汚濁防止法の規制対象ではないが、機械が大型(180K、240K)になるにしたがい洗浄排水の量は多量になり環境に与える影響も大きいと予想される。そこで現状を調査し、汚れ程度を低減する方法を開発する。

[成果の内容・特徴]
1. 茶渋除去・非除去にかかわらず、調査工場の排水は、COD、SSで水質汚濁防止法に定められた工場排水排出基準を大幅に超えている(表1)。
2. 洗浄前にあらかじめ茶渋の除去を行うことで排水の汚れの継続する時間を短縮でき、基準値以下になるまでの時間はCOD、SSともに60分程度短くなる(図1)。
3. 茶渋懸濁液を静置して浮遊物を沈殿させることで、上清のCODは原液の3分の1程度となり、SSについても大幅に減少する(表2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 排水の汚れ程度は工場の規模や洗浄方法により異なる。
2. 茶渋の除去、沈澱処理はCODを基準値以下にするには不十分なため、更なる対策が求められる。


[具体的データ]

表1 粗揉茶葉量および茶渋除去量
図1 茶渋除去と非除去の場合におけるCOD、SSの経時変化
表2 沈殿処理によるCODおよびSSの減少率

[その他]
研究課題名:製茶工場から排出される洗浄水等の処理方法の開発
予算区分:県単
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者:河合美絵

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