グルテンを使用しない米粉パンの製造法


[要約]
米粉に少量のグアーガム、乳化剤、βアミラーゼ剤を添加することを基本組成とし、イースト等の一般的な製パン材料を加えることにより、グルテンを用いずに嗜好性の高い米粉パンが製造できる。

[キーワード]米粉パン、グルテン、グアーガム、乳化剤

[担当]新潟農総研・食品研究センタ−・穀類食品科、新潟農総研・基盤研究部
[代表連絡先]電話:0256-52-3238
[区分]関東東海北陸農業・流通加工
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  米消費拡大策の一環として、これまでに開発した小麦グルテン入り米粉パンは全国的な広まりを見せているが、米消費のさらなる拡大方策として期待されているところから、米粉を利用した新たな加工技術並びに嗜好性の高い加工食品の開発を図る。

[成果の内容・特徴]
1. 米粉は酵素処理米粉(新潟県食品研究所研究報告,27(1992),21-28)が好適であり、その一部をうるち米α粉に置き換える(図1)。
2. パン組織を良好に形成させるためにはグアーガムが適し、最適添加量は対粉1.5〜2%である(図1図2)。
3. 内相の気泡を均一にするため親水性の高い乳化剤を添加し、硬化防止効果を高めるためにβアミラーゼを配合する(図2)。
4. ミキシングにはビーターが適し、十分に撹拌する(図2)。
5. 以上により製造されるグルテンを使用しない米粉パンは、焼上げ後の水分が45〜50%と高く(従来の米粉パン:約40%前後、小麦粉パン:約35%前後)、官能評価も良好である(図3表1)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本技術は新潟県で特許出願中であり、製造販売を行う場合は新潟県への利用実施許諾が必要である。
2. 生地物性が小麦グルテン入りの米粉パンと異なるため、パン型への充填は、絞り出し等による作業が望ましい。
3. 小麦アレルギー対応に利用する場合、米粉製造およびパン製造時に小麦及び小麦由来物質が混入しないよう厳重に配慮する必要がある。


[具体的データ]

図1 製粉法、増粘多糖類、乳化剤・副資材の比較
図2 グルテンを使用しない米粉パン(配合例・製造工程例)
図3 グルテンを使用しない米粉パン(製造例)
表1 グルテンを使用しない米粉パンの官能評価

[その他]
研究課題名:米消費拡大に向けた製粉技術改善と新規加工食品の開発
予算区分:県単特別
研究期間:2003〜2005年度
研究担当者:中村幸一、諸橋敬子、本間常泰、高橋  誠、小林祐介、守屋  透
発表論文等:特許出願中(特開2005-245409)

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