水稲糯新品種「越南糯196号」の奨励品種採用(予定)


[要約]
本県の中山間地帯では「ヒメノモチ」が作付けされているが、熟期が早く雀の食害、また、穂発芽被害が多い。そこで、「越南糯196号」を採用することにより、生産の安定を図る。

[キーワード]水稲糯、「越南糯196号」

[担当]群馬農技セ・生産技術部・作物開発グループ
[代表連絡先]電話:0270-30-7799
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  本県では「ヒメノモチ」を昭和59年に奨励品種として採用しており、標高250〜700mの地域に約80ha作付けされている。
  しかし、同地域で作付けされている「コシヒカリ」および「ひとめぼれ」より出穂期および成熟期が早いことから、雀による食害が問題となっている。
  さらに、採種においては、「ヒメノモチ」の穂発芽性が“易”であることから、種子の供給においても問題が生じている。
  そこで、「ヒメノモチ」に代わり、「越南糯196号」を採用することにより、雀による食害の軽減、また、種子の品質および供給の安定を図る。

[成果の内容・特徴]
  「越南糯196号」は福井県農業試験場において、「越南糯144号」を母、「ふくひびき」を父として交配され、系統育種法により育成された系統である。

  「越南糯196号」は「ヒメノモチ」と比較して次の特徴がある(表1)。
1. 出穂期は4日程度、成熟期は6日程度遅い。
2. 稈長は8cm程度短い。
3. 穂長は同程度である。
4. 穂数は1割程度少ない。
5. 倒伏はやや少ない。
6. 収量は1割程度優る。
7. いもち病は葉いもちは“中”、穂いもちは“やや強”であり、真性抵抗性遺伝子はPi-zと推定される。
8. 耐冷性は“中”である。
9. 穂発芽性は“中”である。
10. ふ先色がある。

[成果の活用面・留意点]
1. 本県の標高250〜600mの地域に適し、約80haの作付が見込まれる。
2. 縞葉枯病に罹病性であることから、発病地域においては縞葉枯病抵抗性“極強”である「群馬糯5号」を作付けする。


[具体的データ]

表1 奨励品種決定調査および特性検定結果

[その他]
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分:県単
研究期間:2002〜2006年度
研究担当者:齋藤穂高、大沢実、齋藤幸雄、成塚彰久、折茂佐重樹、高橋利和、関上直幸、廣岡政義

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