六条大麦「ファイバースノウ」の奨励(推奨)品種採用


[要約]
大粒、多収で耐寒性、精麦特性に優れる六条大麦品種「ファイバースノウ」を奨励品種に採用する。

[キーワード]六条大麦、ファイバースノウ、精麦特性、大粒、耐寒性

[担当]山梨総農セ・高冷地分場・野菜作物科、栽培部・作物特作科
[代表連絡先]電話:0551-20-2050
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  山梨県における六条大麦の主力産地は標高500m以上の中間・高冷地である。主力品種の「シュンライ」は収量性や耐寒性が不十分であり、黒ボク土壌の主力産地では硝子粒率がやや多く実需者の要望に十分応えているとはいえない。
  そこで、多収・良質で耐寒性の強い特性をもつ奨励品種の選定を行う。

[成果の内容・特徴]
1. 「ファイバースノウ」は、長野県農事試験場において、「シュンライ」を母とし、「東山皮86号」を父として交配・育成された。「シュンライ」と比較し次の特徴がある。
(1) 出穂期は4月下旬〜5月上旬、成熟期は6月上旬〜中旬で、1〜2日程度遅い。(表1
(2) 穂長はやや長く、穂数はやや多い。稈長は同程度だが、稈質は“やや剛”であるため耐倒伏性は優れる(表1)。
(3) 耐寒性は強い(表1)。
(4) 千粒重、容積重は大きく、収量性、外観品質は優れる(表1)。
(5) 硝子率は低く、精麦白度、色相、精麦適性は優れる(表2)。
2. 収穫時穀粒水分が30〜15%の範囲が収穫適期で、この期間では実需者の求める精麦適性を満たす(表3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 普及地域は標高800m以下の県下全域で普及予定面積は50ha。
2. 播性はⅣで耐寒性は強いが、収量・品質を確保するため、中間地では10月中に播種を行い、越冬前の生育を確保するとともに、収穫期の前進化を図る。
3. 穂数確保のため越冬後の追肥を行う。


[具体的データ]

表1 栽培特性
表2 精麦特性
表3 収穫時期の違いが精麦特性に与える影響

[その他]
研究課題名:麦類品種の比較試験
予算区分:県単
研究期間:1997、2002〜2005年度
研究担当者:石川寛人、上野直也、平林正光、窪田哲、石井利幸、篠原巌

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