収量改善技術としてのダイズ省力摘心技術


[要約]
ダイズ省力摘心機により開花2週間前から直前に摘心処理(以下、摘心)を行えば、分枝節数と節当たり着莢数が増加して増収する。また、粒肥大期の根粒活性は高く維持されており、莢数が増加しても百粒重は低下しない。

[キーワード]ダイズ、摘心、節当たり着莢数、根粒活性、収量改善技術

[担当]愛知農総試・作物研究部・作物グループ
[代表連絡先]電話:0561-62-0085
[区分]関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  愛知県沖積地帯のダイズ栽培では、栄養生長が旺盛で徒長しやすく、蔓化や倒伏が低収要因となっている。このため、生育改善を目的にダイズ省力摘心機を開発し、摘心による倒伏軽減効果等を明らかにした(平成16年度成果情報)。その後の栽培試験から、摘心処理は倒伏軽減効果に加え増収効果が確認され、摘心による生育改善は倒伏の有無に関わらず増収に繋がる技術と考えられる。そこで、倒伏回避のための応急処置としてではなく収量改善を目指した技術として摘心技術を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. 摘心により倒伏は軽減され、総莢数の増加により増収する。また、総莢数が増加しても百粒重は低下しない(表1)。
2. 摘心による増収効果は低収ほ場ほど大きく、慣行収量が300kg/10a以下のほ場では平均30%増収する(図1)。
3. 開花2週間前から開花直前の間に摘心すれば、増収効果がみられる(図1)。
4. 総莢数の増加要因は、分枝節数と節当たり着莢数の増加による分枝莢数の増加である(表2)。
5. 摘心により粒肥大期の根粒活性は高く維持されている(図2)。

[成果の活用面・留意点]
1. 本試験は愛知県における条間60〜80cmの倒伏の恐れがあるフクユタカで行った。
2. 摘心はダイズ省力摘心機により主茎生長点の約5cm下で切断した。
3. 摘心による増収効果は収量が360kg/10aを超えるほ場では期待できない。


[具体的データ]

表1 摘心が生育・収量に及ぼす影響(2005・2006) 図1 摘心による増収効果(2005・2006)
表2 摘心処理による莢数変動の要因(2006)
図2 摘心が根粒活性に及ぼす影響

[その他]
研究課題名:大規模水田営農を支える省力・低コスト技術の確立
予算区分:委託
研究期間:2006〜2008年度
研究担当者:谷  俊男、林  元樹、平岩  確、小出 俊則、野村有美、野々山利博、杉浦和彦

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