長野県に発生する雑草イネの生理形態的特徴と分布 |
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[要約] |
長野県において近年発生する雑草イネは、1970年代に発生した雑草イネよりも短稈で、出穂が早く、休眠性の深いタイプが優占し、1970年代よりも広範な地域に分布する。これらの雑草イネは全て日本型の赤米である。 |
[キーワード]水稲直播栽培、雑草イネ、生存戦略、発生分布、生物型 |
[担当]中央農研・雑草バイオタイプ・総合防除研究チーム
[代表連絡先]電話:029-838-8953
[区分]共通基盤・作付体系・雑草、関東東海北陸農業・関東東海・水田作畑作
[分類]技術・参考 |
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[背景・ねらい] |
長野県では、1970年代頃、善光寺平(千曲川流域の平坦部)の乾田直播栽培を行っていた地域で「トウコン」と呼ばれる雑草イネが発生していた(柳島 1965、宮島・高橋 1974)。その後、乾田直播栽培の衰退に伴い雑草イネの発生は問題視されなくなったが、1990年代以降、湛水直播栽培の普及に伴い、その発生が再度問題視されるようになった(酒井・斎藤 2003)。 そこで1970年代および2002年に長野県で採取された雑草イネの生理形態的形質と分布を比較し、近年発生する雑草イネの特徴を明らかにする。 |
[成果の内容・特徴] |
1. |
雑草イネは、1970年代には善光寺平に分布していたが、2002年には善光寺から約30km離れた広範な地域に分布する(図1)。 |
2. |
1970年代に発生した雑草イネ10集団および2002年に発生した26集団は全て赤米である(図2)。また生理形態的形質に基づいた日本型・インド型の判別から全て日本型に判別できる。 |
3. |
上記の雑草イネ36集団は、籾・玄米の外観形質およびその他の生理形態的形質(稈長、到穂日数、脱粒性、休眠性等)から7つのタイプに類型化できる(図2A〜G)。 |
4. |
1970年代に優占的であったタイプAと、2002年に優占的であったタイプD, Eは、いずれも自然脱粒する特徴を持つ。これらの稈長と出穂期をコシヒカリと比較すると、タイプAは約20cm長稈で同時期、タイプD, Eは約10cm長稈で1週間程度早生である。またタイプD, EはタイプAよりも休眠性が深い(図3)。 |
5. |
これらのタイプD, Eの特徴は、発生地域の栽培品種が短稈・早生化するなかで、防除をより困難にするものであり、新たに雑草イネがまん延した一因と考えられる。 |
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[成果の活用面・留意点] |
1. |
圃場内に発生もしくは収穫物に混入する雑草イネの診断と防除対策の策定に活用できる。 |
2. |
本成果は、宮島・高橋(1974)によって1971〜1972年に採取され、長野県農事試験場(須坂市)で保存していた雑草イネ10集団と、2002年に研究担当者らが現地で採取した雑草イネ26集団について解析した結果である。 |
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[具体的データ]
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[その他] |
研究課題名:難防除雑草バイオタイプのまん延機構の解明及び総合防除技術の開発
課題ID:214-b
予算区分:科研費若手(B)
研究期間:2004〜2006年度
研究担当者: |
牛木純、赤坂舞子、川名義明、内野彰、浅井元朗、渡邊寛明、手塚光明(長野県農事試験場)、酒井長雄(長野県農業技術課)、斎藤稔(長野県農事試験場)、石川隆二(弘前大学) |
発表論文等: |
Duncan A. Vaughan, Paulino L. Sanchez, Jun Ushiki, Akito Kaga, and Norihiro Tomooka (2005) Asian Rice and Weedy rice - Evolutionary Perspectives., Crop Ferality and Volunteerism (ISBN 0-8493-2895-0), 257-277 | |
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