薬剤処理と遅植えの組合せによるチューリップ微斑モザイク病の防除


[要約]
フルアジナム粉剤(40kg/10a)を全面土壌混和処理し、さらにチューリップを遅植えすることによりチューリップ微斑モザイク病の感染・発病を抑えることができる。

[キーワード]チューリップ微斑モザイク病、防除、フルアジナム、土壌混和、遅植え

[担当]新潟農総研・園芸研究センター・環境科
[代表連絡先]電話:0254-27-5555
[区分]関東東海北陸農業・北陸・生産環境
[分類]技術・普及

[背景・ねらい]
  近年国内のチューリップ栽培産地で、チューリップ微斑モザイク病等の土壌および球根伝染性のウイルス病が発生し問題となっている。その防除対策としては、無発生地における健全球根を用いた栽培を基本とし、発病が認められる場合は、発病株の抜き取りを実施している。しかし、依然として発生が拡大傾向にあり、その対策に苦慮している。そこで、本病の防除法を確立する。

[成果の内容・特徴]
1. チューリップの植え付け前に、10アール当たり40kgのフルアジナム粉剤を全面土壌混和処理するとチューリップ微斑モザイク病の感染・発病を抑制できる(図1)。
2. チューリップの植え付けを遅らせると(遅植え)、チューリップ微斑モザイク病の感染・発病が少なくなる(図2)。
3. フルアジナム剤の全面土壌混和処理とチューリップの遅植えを組合せることにより、個別に実施した場合より防除効果が高まる(図3)。

[成果の活用面・留意点]
1. 汚染程度が高い土壌および薬剤の混和が不均一な場合、防除効果が不安定となる。
2. チューリップの球根生産ほ場では、本技術と発病株の抜き取りを必ず併用し防除効果を高める。
3. 遅植えする場合、植え付け時期は、栽培品種の特性、ほ場条件および天気予報を考慮して決定し、ほ場の排水対策を徹底する。
4. 極端な遅植えは収量・品質を低下させるおそれがある。


[具体的データ]

図1 チューリップ微斑モザイク病に対するフルアジナム粉剤処理の防除効果
図2 チューリップ微斑モザイク病に対する遅植えの防除効果
図3 フルアジナム粉剤処理と遅植えの組み合わせによるチューリップ微斑モザイク病の防除効果

[その他]
研究課題名:園芸作物病害虫の発生生態と防除技術
予算区分:県単経常、県事業(園芸振興費)
研究期間:2001〜2005年度
研究担当者:棚橋  恵、西原英治、中野太佳司

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